コンタクトレンズを装用しているときに、「何となく目に異物感がある……」「目がゴロゴロする」といった違和感を覚えることはありませんか。
そもそも、目にとってコンタクトレンズは異物なので、装用時に違和感を覚えるのは当たり前に思えるかもしれません。しかし、コンタクトレンズは目に装用しても痛みなどを感じにくいように作られています。
それでは、コンタクトレンズを装用した際に感じる目のゴロゴロ感は、何が原因なのでしょうか。今回は、コンタクトレンズの装用で目がゴロゴロする理由と正しい対処法を解説します。
■コンタクトレンズ装用時に目がゴロゴロする理由
コンタクトレンズ装用時に目がゴロゴロする理由は多岐にわたります。ここでは、代表的な5つの理由を見ていきましょう。
◇目に異物が入っている
コンタクトレンズを装用中、突然目にゴロゴロ感を覚えた場合は、たいてい目に小さなゴミやまつ毛などの異物が混入しています。
何らかの方法で異物を洗い流せばゴロゴロ感は気にならなくなりますが、異物を取ろうとして目をこすると、角膜(黒目の部分)に傷が付くおそれがあるため、注意しましょう。
ごく小さな傷だと痛みを感じないケースもありますが、傷から雑菌が入り込んで感染症を引き起こすこともあるため、大変危険です。
◇コンタクトレンズが汚れている
コンタクトレンズの汚れが原因で、目がゴロゴロする場合もあります。特に、結膜炎などの症状があるときは、分泌物が増えてコンタクトレンズが汚れやすいため、要注意です。
また、使い方が不適切だったり、レンズケアが不十分だったりしてコンタクトレンズが汚れていると、目のゴロゴロ感をまねきやすくなります。
もし、コンタクトレンズを正しく使い、レンズケアを十分しているにもかかわらずゴロゴロ感を覚えるなら、ブリスターパックに付いている埃や、装用後のメイクでコンタクトレンズが汚れた可能性があります。保管場所やメイク方法などを見直してみましょう。
◇コンタクトレンズに傷が付いている
コンタクトレンズに傷が付いている場合も、目がゴロゴロしやすくなります。
誤った方法でこすり洗いをしたり、乾燥した状態でコンタクトレンズを扱ったりすると、レンズに傷が付くことがあるため注意しましょう。また、手指が荒れていると、こすり洗いなどの際にコンタクトレンズに傷が付きやすくなります。
手荒れなどが原因でコンタクトに傷が付いてしまう場合は、デイリーケアが不要なワンデータイプへの変更も考えてみましょう。
◇目が乾いている・涙が不足している
目が乾いていたり、涙が不足したりしている状態でまばたきをすると、コンタクトレンズとまぶたの裏側の摩擦が強くなり、ゴロゴロ感を覚えることがあります。
目が乾燥するおもな原因は、まばたきの減少や空気の乾燥、ドライアイなどです。また、コンタクトレンズが汚れていると、涙がレンズの表面に広がりにくくなるため、目が乾燥しやすくなります。
なお、コンタクトレンズ自体が目の乾燥の原因となる場合もあります。特に、含水率の高いコンタクトレンズは涙を吸収して目の乾燥をまねきやすいため、ゴロゴロ感が気になる場合は避けるほうがよいでしょう。
◇目に病気がある
ここまでに挙げた理由に対処しても目のゴロゴロ感が改善されない場合は、目に病気がある可能性も考えなければなりません。
ゴロゴロ感が生じやすい病気は、ドライアイや眼精疲労、アレルギー性結膜炎、流行性結膜炎(はやり目)などです。また、角膜に傷ができる点状表層角膜症や角膜上皮びらん、角膜潰瘍でも、目がゴロゴロする場合があります。
目の病気は放置すると失明に至るケースもあるため、不快な症状が続く、充血・目ヤニ・痛みなどをともなう、という方は、速やかに眼科を受診しましょう。
■【原因別】コンタクトレンズによる目のゴロゴロ感への対処法
ここからは、コンタクトレンズで目がゴロゴロする場合の対処法を原因別に紹介します。
◇目に異物が入っている場合の対処法
目にゴミやまつ毛などの異物が入ってゴロゴロ感が生じているなら、少し強めにまばたきをしてみてください。まばたきを何度か繰り返すだけで異物が取れ、ゴロゴロ感が解消されることがあります。
また、コンタクトレンズにそっと触れて軽くずらすという方法もあります。
この方法を試す際には、最初に手指をしっかり洗ってください。そして、指の腹でそっと目の中にあるコンタクトレンズに触れ、黒目を鼻のほうへ向けながら、レンズを耳側の白目の部分にゆっくりずらします。
次に、指先でコンタクトレンズに触れたまま黒目を正面に向け、コンタクトレンズをゆっくりと黒目の上に戻してください。このようにしてコンタクトレンズを少しずらすと、ゴロゴロ感が気にならなくなる場合があります。
まばたきをしたり、コンタクトレンズを動かしたりしてもゴロゴロ感が解消されないなら、目薬をさしたり、レンズを外してチェックしたりするなどの対処を行なってください。目薬をさすと、異物が洗い流されることがあります。
◇コンタクトレンズが汚れている場合の対処法
コンタクトレンズの汚れが原因の場合は、レンズケアが必要です。といっても、特別なケアではなく、通常のレンズケアを適切な方法で行なうことが重要です。
まず、レンズケアの前に手をきれいに洗ってください。
ハードコンタクトレンズの場合は、洗浄保存液や洗浄液などで浸け置き洗いやこすり洗いをしたあと、流水でしっかりすすぎましょう。それでも汚れが残るなら、タンパク除去剤でしっかり汚れを落としてください。
ソフトコンタクトレンズは、マルチパーパスソリューション(MPS)系洗浄液、過酸化水素系洗浄液、ポビドンヨード系洗浄液のいずれかでケアを行ないます。他の2種類と比べて洗浄力が弱いMPS系洗浄液を使う場合は、こすり洗いやすすぎをしたあとで、レンズケースに洗浄液を入れて保存してください。
過酸化水素系洗浄液やポビドンヨード系洗浄液を用いる場合も、汚れがひどい場合はこすり洗いを併用しましょう。こすり洗いをしてコンタクトレンズをすすいだら、消毒液と中和剤を入れたレンズケースに浸し、メーカーが指定する時間を守って放置してください。
なお、マンスリータイプのコンタクトレンズや長期間使用できるタイプのコンタクトレンズは、定期的なタンパク除去が必要です。
また、コンタクトレンズの汚れを防ぐには、ケアに使用するレンズケースも清潔に保たなければなりません。ハードコンタクトレンズのケースは半年~1年に1回、ソフトコンタクトレンズのケースは1.5ヵ月~3ヵ月に1回の頻度で、新しいものに交換しましょう。
最近のコンタクトレンズのケア用品はレンズケースがセットになっているものも多いため、新しいケア用品を開封するたびにケースを交換するのがおすすめです。
◇コンタクトレンズに傷が付いている場合の対処法
コンタクトレンズに傷が付いていて目がゴロゴロする場合は、すぐに新しいコンタクトレンズに交換してください。
たとえ使用期間が残っている場合でも、傷のあるコンタクトレンズは使えません。使い続けると、ゴロゴロ感だけにとどまらず、目に傷が付くおそれもあります。
また、コンタクトレンズの破損や傷を防ぐためには、使用期間を守ることも大切です。
使用期間を過ぎた使い捨てタイプのコンタクトレンズは、きれいに見えても汚れが蓄積していたり、細かな傷が付いていたりします。にもかかわらず、洗浄して再使用を繰り返すとレンズの劣化がさらに進むため、重篤な眼障害をまねくことになりかねません。
なお、使用期間とは「コンタクトレンズを装用した日数」ではなく、「開封してから使用できる最大の日数」のことです。例えば、2ウィークタイプの場合、使用した日数がわずか1日でも、開封から2週間後には廃棄しなければなりません。
◇目が乾いている・涙が不足している場合の対処法
目の乾きや涙不足で目がゴロゴロする場合は、装着液や目薬の使用を考えてみてください。
装着液は、コンタクトレンズを装用する前にレンズに直接垂らして使用する「潤滑液」のようなものです。装着液を使用すると、ゴロゴロとした感じやコンタクトレンズのズレなどによる不快感を軽減でき、潤いも保てます。
コンタクトレンズ装用中の目の乾きが気になる場合は、コンタクトレンズ用の目薬を使用するとよいでしょう。また、まばたきの回数を増やしたり、空気の乾燥を防いだりするのも有効です。エアコンなどによる空気の乾燥が避けられない場合は、人工涙液などで目の潤いを保つようにしましょう。
そのほか、コンタクトレンズの汚れが目の乾燥をまねくこともあるため、しっかりレンズケアをすることも大切です。目が乾きにくい低含水コンタクトレンズに変更するのも選択肢の一つでしょう。
◇目に病気がある場合の対処法
目のゴロゴロ感以外の症状、例えば、目の痛みやかゆみ、充血や目ヤニなどがあるなら、アレルギーや感染症などの可能性が否定できません。このような場合は、コンタクトレンズを外して眼科を受診しましょう。
目の病気は、治療が遅れると角膜が混濁したり、視力障害が残ったりする場合があります。症状が悪化すると失明するリスクもあるため、気になる症状がある方は決して放置しないでください。
ただし、自己判断で市販の目薬などを使うのはおすすめできません。症状によっては点滴による治療が必要な場合もあるため、できるだけ早急に眼科を受診して、適切な治療を受けるようにしましょう。
■まとめ
コンタクトレンズによる目のゴロゴロ感の原因は、埃などの異物の混入のほか、コンタクトレンズの汚れや傷、目の乾燥や病気などが挙げられます。
コンタクトレンズを正しく使用して適切なレンズケアをするだけで、目のゴロゴロ感を防げることが多い一方で、目の病気が原因の場合は、できるだけ早く適切な治療を受ける必要があります。
特に目に異常がなくとも、3ヵ月に1回は眼科を受診して、目の異常を早期発見できるようにしましょう。
更新日:2023年6月
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