コンタクトレンズの装用時に、目の乾きや不快感などを覚えることはありませんか。
それは、ドライアイが原因かもしれません。
コンタクトレンズ装用にともなう目の不快感は、レンズのタイプによって起きやすいタイミングがある程度決まっています。なかでも、ソフトコンタクトレンズによる目の不快感には、ドライアイが大きく影響していることが近年の研究で明らかになっています。
コンタクトレンズに関連したドライアイを防ぐためには、目に優しいコンタクトレンズを選ぶことが大切です。
そこで今回はドライアイと目の不快感の関係に迫り、ドライアイの予防に適したコンタクトレンズの選び方を解説します。
ドライアイは、コンタクトレンズ装用時の眼不快感(CLD)と深い関係があります。ここでは、ドライアイとコンタクトレンズの関係、ドライアイがCLDにおよぼす影響などを解説します。
まずは、ドライアイの症状や原因、コンタクトレンズとの関係を知っておきましょう。
・ドライアイのおもな症状
ドライアイは、目を守っている涙の量が少なくなったり、涙の質が損なわれたりして、目の表面に涙がうまく広がらなくなる病気です。そのため、ドライアイは「涙の病気」といわれることもあります。
ドライアイになると、目の乾きだけではなく、以下のような症状が生じることがあります。
目が痛い
目がかゆい
目がゴロゴロする
目が充血する
目ヤニが出る
目が疲れる
目がかすむ
まぶしさを感じる
見えづらさを感じる
目が重い感じがある など
ドライアイは、放置したところで失明などの直接の原因になるわけではありません。しかし、症状が悪化すると、日常的に物が見づらくなったり、角膜感染症にかかりやすくなったりするほか、目の疲れから心身の不調をまねく場合もあります。
・ドライアイの原因
ドライアイの原因は多岐にわたりますが、特に環境に関連する要因の影響が大きいとされています。以下は、ドライアイのおもな原因と、目や涙に与える影響です。
加齢
涙の量や質が低下する。
パソコンやスマートフォンなどの長時間使用
まばたきの回数が減り、目の表面が涙で保護されなくなる。
夜型生活
夜間は涙の分泌量が少なくなるため、目の乾燥をまねきやすい。
空気の乾燥
涙が蒸発しやすくなる。
ストレス
交感神経が活発になり、涙の分泌が抑制される。
メイクなどによる目もとの汚れ
マイボーム腺(涙の蒸発を防ぐ油成分を分泌する器官)が汚れで詰まる。
薬の副作用
涙の分泌量を減らす作用のある一部の薬剤。
病気
涙腺が傷付く病気など。
これらのほか、コンタクトレンズの使用がドライアイの原因になっていることもあります。
・ドライアイとコンタクトレンズの関係
それでは、コンタクトレンズの使用がどうしてドライアイの原因になるのでしょうか。
コンタクトレンズは、目に装用して視力を矯正するものですが、目の表面に直接ふれているわけではなく、涙の上に浮いた状態でとどまっています。
しかし、コンタクトレンズを装用すると、レンズ表面の涙の層が薄く不安定になるため、目の乾燥を感じやすくなります。また、水分量の多いソフトコンタクトレンズは、長時間装用するとレンズ内の水分が蒸発してしまうため、涙をどんどん吸収してしまいます。
このように、コンタクトレンズを装用すると、目が乾きやすくなったり涙がコンタクトレンズに吸収されたりするため、ドライアイのリスクが高まります。実際、ドライアイの実態を調査した研究では、コンタクトレンズユーザーの約4割がドライアイであったという結果が示されています。
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次は、コンタクトレンズ装用時の眼不快感(CL discomfort:CLD)についてです。聞き慣れない言葉ですが、CLDはドライアイと深い関係があります。
・CLDの定義
眼科の専門誌によると、CLDとは「CLと眼の環境との適合性の低下により生じるCL装用に関連した視機能異常の有無を問わない一過性あるいは持続する眼の感覚の異常であり、装用時間の減少あるいはレンズ装用の中止を余儀なくされ得るもの」と定義されています。
引用:あたらしい眼科 Vol.36 No.06(2019年6月号)
この定義によると、コンタクトレンズの装用時間の短縮や装用の中止につながる症状などは、すべて「CLD」といえます。
なお、CLDはけっしてめずらしいものではなく、半数近くのコンタクトレンズユーザーがCLDを自覚しているようです。
・CLDが起きやすいタイミング
CLDが起きやすいタイミングは、コンタクトレンズの種類によってある程度決まっています。
ハードコンタクトレンズでCLDが起きやすいのは、初めてレンズを使用するとき(初装時)です。初装時のCLDが強いとコンタクトレンズの使用自体をやめてしまうことになりますが、慣れてしまえば装用に支障はなくなります。したがって、ハードコンタクトレンズでは、初装時のCLDを克服することがとても重要です。
一方、ソフトコンタクトレンズでは、夕方や夜など一日の装用の終わり頃にCLDが生じやすくなります。また、定期交換レンズや頻回交換レンズでは、レンズに蓄積した汚れや巨大乳頭結膜炎(アレルギー性結膜炎の一種)の影響で、使用期間の終盤にCLDが顕著になることが多くあります。
CLDの発生には、ドライアイが大きく影響しています。特に、ソフトコンタクトレンズで一日の装用の終わり頃にCLDが生じやすいのは、コンタクトレンズに関連したドライアイの影響が大きいようです。
また、CLDは温度や湿度、風、エアコン、VDT作業(パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器を用いた作業)など外部環境の影響で発生リスクが高まるといわれています。
これらは、ドライアイの原因と共通する内容も多いため、ドライアイを防ぐことはCLDを防ぐことにつながると考えてよいでしょう。
それでは、コンタクトレンズによるドライアイを防ぎ、快適に過ごすためにはどのような製品を選べばよいのでしょうか。ドライアイの予防に適したコンタクトレンズの特徴から、実際にレンズを選ぶときのポイントを探っていきましょう。
コンタクトレンズに関連するドライアイの予防には、以下のような特徴を備えたレンズが適しています。
1. コンタクトレンズの含水率が低い
2. 水分の蒸発が少ない
3. 直径が小さめ
4. エッジ部分が摩擦の少ないなめらかな形状になっている
5. コンタクトレンズ表面の水濡れ性(涙との相性)が良い
コンタクトレンズに関連するドライアイは、装用中止のおもな原因となるものです。コンタクトレンズ装用中に目の乾きや不快感を覚える場合は、使用中のレンズが上記の条件を満たしているかチェックしてみましょう。
ドライアイによる不快感を減らし、快適なコンタクトレンズライフを送るために、レンズを選ぶ際には以下の点に着目しましょう。
・レンズの含水率:低めが良い
ソフトコンタクトレンズの場合は、レンズ内の水分量が少ない低含水レンズを選びましょう。低含水レンズはレンズから蒸発する水分の量が少なく、涙の吸収量も少ないため、上記のドライアイの予防に適したレンズの特徴の1、2番目を満たします。
・レンズの直径:小さめを選ぶ
コンタクトレンズの直径(DIA)が選べる場合は、小さめの製品を選ぶようにしましょう。直径が小さいとコンタクトレンズが目を覆う範囲が狭くなるため、目の乾きや不快感が少なくなります。
特にレンズの直径が問題となるのは、カラコンです。もっとも、最近は直径が小さくても効果的に目もとの印象をアップさせる製品が多数販売されています。ドライアイが気になる場合は、直径に着目して商品を選びましょう。
・エッジの形状:薄くなめらかなデザインがおすすめ
コンタクトレンズのエッジ部分のデザインは、装用感だけではなく涙の広がり方にも影響するといわれています。そして、目の乾燥予防には、エッジの先端が丸くなめらかな仕上がりになっているコンタクトレンズがおすすめです。
ただし、エッジ部分のデザインは、目で見たところで細部まで確認できるものではありません。そのため、あらかじめ医師や専門店のスタッフに相談して、目が乾きにくいデザインの製品を選んでもらうとよいでしょう。
・コンタクトレンズ表面の水濡れ性(涙との相性):親水性に優れた製品を選ぶ
コンタクトレンズの水濡れ性(涙との相性)については、親水性に優れた製品を選ぶことで解決しましょう。
おすすめは、シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズです。シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズは水濡れ性が良く、しかも含水率が低いため、ドライアイ対策に適しています。
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コンタクトレンズの装用にともなう目の不快感には、ドライアイが深く関係しています。特にソフトコンタクトレンズでは、ドライアイの影響で夕方や夜に目の不快感を覚えることが少なくありません。
もっとも、目に優しいコンタクトレンズを選べばドライアイの症状は軽減できます。目の乾きや不快感が気になる場合は、コンタクトレンズの含水率や直径、エッジのデザイン、涙との相性などに着目して、目に優しい製品を選びましょう。
なお、ドライアイになりにくいコンタクトレンズを選んでも目の不快感が続く場合は、眼科医の診察を受けてください。ドライアイは放置すると症状がさらに悪化するおそれがあるため、気になる不調がある場合には、できるだけ早く眼科を受診しましょう。
更新日:2023/9/5