コンタクトレンズは、種類によってケアにかかる手間や使いやすさが異なります。インターネット広告などを見て、「次は違う種類のレンズを使ってみたい」と思うこともあるでしょう。
しかし、軽い気持ちでコンタクトレンズの種類を変更するのはおすすめできません。メーカーや種類が異なるコンタクトレンズは、度数が同じでも見え方やフィット感などが違うことが多く、後悔する場合があるからです。
そこで今回は、「買ってから合わないことに気付いた!」などのトラブルを防ぐために、コンタクトレンズの特徴を種類別に解説します。
コンタクトレンズにはたくさんの種類がありますが、大きく分けると「ハードコンタクトレンズ」と「ソフトコンタクトレンズ」のいずれかになります。
ハードコンタクトレンズは、水分を含まない硬い素材で作られています。
レンズのサイズは角膜(黒目)より小さく、一般的に酸素透過性の高い素材で作られており、目にかかる負担は少なめです。また、レンズが硬くて矯正効果が高く、乱視の矯正にも優れています。
ただし、ハードコンタクトレンズは装用したときの異物感が強く、慣れるまでに1~2週間ほどかかる場合もあります。一方で、目に傷が付いたときやゴミが入ったときなどは痛みを強く感じるため、目の異常に早く気付くことが可能です。
なお、ハードコンタクトレンズの価格は片眼1枚で10,000円程度と高めですが、耐用年数が長く、2~3年は使えます。そのため、コストパフォーマンスは悪くありません。
ソフトコンタクトレンズは、水分を含むやわらかな素材で作られています。
サイズは角膜より大きめですが、ハードコンタクトレンズに比べて装用感が良く、ずれたり外れたりするトラブルも少なめです。
しかし、ソフトコンタクトレンズは異物感を覚えにくく、目に傷が付いてもわからない場合があるため、目の異常を見逃すおそれがあります。また、乱視の矯正も可能ですが、乱視の強さやタイプによっては対応できない場合もあります。
ソフトコンタクトレンズは、通年使用タイプだけではなく、ワンデータイプや2ウィークタイプ、マンスリータイプなど、いろいろな種類があるのも特徴です。特に使い捨てタイプは1枚当たりの値段が比較的安いので、上手に使えばコストを抑えられます。
コンタクトレンズには、年単位で使用できる長期使用タイプと、1日~1ヵ月で交換する使い捨てタイプがあります。これらの違いも見ていきましょう。
長期使用タイプは、1~3年程度使用できるコンタクトレンズです。
ハードコンタクトレンズは多くが長期使用タイプで、視力が変わらなければ2~3年は使えます。一方、長期使用タイプのソフトコンタクトレンズは、1~1年半ほど使用できます。
ただし、汚れの蓄積を防ぐため、毎日のレンズケアや定期的なタンパク除去が欠かせません。
長期使用タイプのレンズを両眼2枚分購入する際にかかる費用は、ハードコンタクトレンズで20,000円前後、ソフトコンタクトレンズで30,000円前後と少し高めです。
しかし、毎日使うのであれば、使い捨てタイプよりも長期使用タイプのほうがコストを抑えられます。
使い捨てタイプは、指定された期間が過ぎたら新しいものと交換するコンタクトレンズです。毎日交換するワンデータイプのほか、2ウィークタイプ、マンスリータイプなどがあります。
使い捨てタイプは短期間で新しいレンズに交換するため、清潔さを保ちやすいのが特徴です。
ただし、ワンデータイプ以外はデイリーケアが必要であり、レンズケア用品やレンズケースも用意しなければなりません。
使い捨てタイプは1枚当たりの値段はそれほど高くありませんが、毎日使用する場合は長期使用タイプのほうが経済的です。
もっとも、使う頻度が低い場合は、使い捨てタイプのほうが低コストですむ場合があります。
使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズには、1日使い捨ての「ワンデータイプ」と、繰り返し装用できる「2ウィークタイプ」「マンスリータイプ」があります。
「ワンデータイプ」と「2ウィークタイプ」「マンスリータイプ」では、外したあとの取り扱いやケア方法が異なるため、違いをしっかり理解しておかなければなりません。
ワンデータイプは、使用できる期間が1日だけの使い捨てコンタクトレンズです。
ワンデータイプは、デイリーケアが一切必要ありません。洗浄液や保存液、レンズケースも不要であり、旅行などへ行くときも便利です。そして、毎日新しいレンズに交換するため、衛生的に使えます。
ただし、ワンデータイプのレンズはほかのタイプのレンズに比べて耐久性が低く、一度外したら再装用できません。また、1枚当たりの値段は高くないものの、使う頻度が高くなるとコストがかさみます。コストが気になる場合は、旅行のときやアレルギーの時期など使う場面を限定するとよいでしょう。
2ウィークタイプ・マンスリータイプは、使用期間内なら繰り返し装用できるコンタクトレンズです。2ウィークタイプは開封した日から2週間、マンスリータイプは開封した日から1ヵ月間使用できます。
ただし、使用期間が過ぎたら、使った回数が少なくても新しいものに交換しなければなりません。
2ウィークタイプやマンスリータイプは、汚れの蓄積を防ぐために毎日のレンズケアが必要です。そして、マンスリータイプは定期的なタンパク除去も求められます。なお、2ウィークタイプは毎日の洗浄・消毒がきちんとできていれば、タンパク除去は必要ありません。
2ウィークタイプやマンスリータイプを利用する場合、洗浄液やレンズケースも必要になります。しかし、使う頻度が高い場合は、トータルで見るとワンデータイプよりコストパフォーマンスが良くなる場合も多いでしょう。
ソフトコンタクトレンズは、含水率によっても分類されます。
「含水率」とは、ソフトコンタクトレンズに含まれている水分量を数値化したものです。含水率が高いほど水分量が多く、含水率が50%以上のものは「高含水コンタクトレンズ」、50%未満のものは「低含水コンタクトレンズ」と呼ばれます。
高含水レンズは、レンズ内に多くの水分を含んでいるため、とてもやわらかく、装用感が良いのが特徴です。また、コンタクトレンズの素材によっては、レンズに含まれる水分を介して目に酸素を供給することから、一般的に含水率が高いほど酸素透過性が高くなります。
しかし、ソフトコンタクトレンズは装用して時間が経つと乾燥してくるため、涙や目の水分を吸収してレンズのうるおいを維持しようとします。特に高含水レンズは失われる水分量が多く、大量の涙を吸収して目の乾燥をまねきやすいことから、涙の量が少ない方やドライアイの方には向きません。
低含水レンズは、高含水レンズに比べると水分量が少ないので、やや硬さを感じることもあります。
しかし、低含水レンズはレンズから蒸発する水分量が少ないため、高含水レンズに比べると目の乾燥はそれほど強く感じません。また、目が乾きにくいことにより、装用時間が長くなってもつけ心地があまり変わらないというメリットもあります。
さらに、低含水レンズは汚れに強い非イオン性素材で作られていることが多く、タンパク汚れや花粉などが付着しにくいのも特徴です。
低含水レンズはレンズ中の水分量が少ないため、酸素透過性が低くなりがちです。しかし、シリコーンハイドロゲル素材のレンズは含水率が低くても酸素透過性が高く、目の乾燥を防ぎながら酸素不足も解消できます。
「コンタクトレンズの度数やBC(ベースカーブ)が同じなら、どのメーカーのものでも同じでしょう?」と考えるかもしれませんが、それは正しくありません。
コンタクトレンズの種類を変更したい場合、違うメーカーのものを使いたい場合などは、眼科での診察が必要です。
コンタクトレンズは、メーカーごとにレンズのデザインや使用している素材、作り方などが違うため、変更すると装用感や見え方が変わってきます。
たとえ同じメーカーが製造しているコンタクトレンズでも、製品が変われば度数が変更になるケースは珍しくありません。
なぜなら、コンタクトレンズの度数は規格化されているわけではないからです。
そのため、見た目がほぼ同じコンタクトレンズでも、実際に装用すると違和感を覚えたり、「同じ度数のはずなのに見えにくい……」ということになったりもします。
コンタクトレンズを買ってから「合わなかった」と悔やむよりも、医師の処方を受けて購入するほうが安心です。また、眼科できちんと検査を受ければ、度数やBCを測ってトライアルレンズの装用もさせてもらえるため、失敗が少なくなります。
コンタクトレンズは、メーカーや種類が違う場合は別のものと考え、購入前に眼科医の指示を受けるようにしましょう。
コンタクトレンズには、さまざまな種類があります。種類ごとに特徴やメリット・デメリットが異なるため、度数やBCだけを確認して種類を変更するのはおすすめできません。
また、コンタクトレンズは、メーカーや種類が変わるとつけ心地や見え方が変わります。自己判断で変更してしまうと、見えづらさを感じたり目の健康を損ねたりする場合もあり得ます。
コンタクトレンズを変更したい場合は、失敗を防ぐためにも眼科を受診してください。医師と相談して、希望に合うコンタクトレンズを処方してもらいましょう。
公開日:2023/5/18
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