視力矯正だけではなく、おしゃれアイテムとしても愛用者の多いコンタクトレンズ。普段はメガネをかけている人も、コンタクトレンズに変えるだけで大きく印象が変わります。
しかし、その種類の多さゆえに選び方がよくわからず、コンタクトデビューへの一歩を踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、初めてのコンタクトレンズ購入で悩んでいる方に向けて、コンタクトレンズの種類や特徴、選び方のポイントなどを紹介します。
コンタクトレンズには、大きく分けてハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズの2種類があります。目に合うコンタクトレンズを選ぶためにも、あらかじめそれぞれの特徴やメリット・デメリットを知っておきましょう。
ハードコンタクトレンズは、水分が含まれていない硬い素材で作られているコンタクトレンズです。
直径は8.5mm~9.5mm程度で角膜(黒目)よりやや小さく、素材の酸素透過性が高いため、目にかかる負担が少ないという特徴があります。また、矯正力が高く、乱視の矯正にも対応可能です。
ただし、ハードコンタクトレンズは素材が硬いため、異物感が強く、慣れるまでに1~2週間ほどかかる場合もあります。また、レンズが小さく、ずれたり外れたりしやすいため、激しい運動をする方には向いていません。
なお、ハードコンタクトレンズの値段は片眼で10,000円前後ですが、2~3年は使用できるため、コストパフォーマンスは悪くありません。ただし、長期にわたって使用することになるため、毎日のレンズケアが必要です。
ソフトコンタクトレンズは、特殊な水を含むやわらかな素材で作られているコンタクトレンズです。
直径は13.5mm~14.5mm程度で角膜より大きいですが、水分を含んでいるため、とてもやわらかく、目になじみやすいという特徴があります。また、ハードコンタクトレンズに比べてずれにくく外れにくいため、運動をする方にもおすすめです。
ただし、ソフトコンタクトレンズは装用感が良い一方で、目の異常に気付きにくいというデメリットがあります。また、素材によっては酸素透過性が低く、含水率(レンズに含まれる水分の割合)によってつけ心地や目の乾きやすさが変わってくるため、注意が必要です。
なお、ソフトコンタクトレンズには、長期間使用できる通年使用タイプ、使い捨てのワンデータイプ、定期的に交換する2ウィークタイプやマンスリータイプなどがあります。ワンデータイプ以外のレンズは、デイリーケアが必要です。
通年使用タイプのソフトコンタクトレンズの場合、値段は両眼で30,000円前後ですが、1年~1年半は使えます。
ワンデータイプは両眼1ヵ月分で4,000円~10,000円前後、2ウィークタイプは両眼3ヵ月分で4,000円~10,000円前後、マンスリータイプは両眼3ヵ月分で6,000円前後です。
コンタクトレンズの特徴がわかったら、次はコンタクトレンズ選びです。
ここでは、コストパフォーマンスや装用感、目の状態や使用状況などに応じた、コンタクトレンズの選び方を紹介します。
なお、コンタクトレンズは長時間装用していると目に負担がかかるため、ドライアイや酸素不足による目の充血をまねくことがあります。そのような場合は、医師の指示にしたがってコンタクトレンズを選ぶようにしてください。
コストパフォーマンスを重視する場合は、ハードコンタクトレンズか通年使用タイプのソフトコンタクトレンズがおすすめです。
ハードコンタクトレンズは、両眼なら20,000円前後かかりますが、3年間使えば1年あたりの費用は6,700円程度ですみます。
ケア用品代は3ヵ月分で2,000円前後なので、年間費用は8,000円程度。
これらを合わせても1年にかかる費用は14,700円程度、1ヵ月あたりなら1,000円ちょっとです。
通年使用タイプのソフトコンタクトレンズは、両眼で30,000円前後かかりますが、1年半使えば1年あたりの費用は20,000円程度になります。
ソフトコンタクトレンズも、ケア用品代は3ヵ月分で2,000円前後なので、年間費用は8,000円程度。
レンズとケア用品代を合わせると1年にかかる費用は28,000円程度、1ヵ月あたりで2,300円程度です。
ただし、ハードコンタクトレンズや通年使用タイプのソフトコンタクトレンズの単価は、けっして安くありません。したがって、これらのレンズを選ぶ場合は、紛失や破損に注意してください。
コンタクトレンズの装用感を重視する場合は、目になじみやすいソフトコンタクトレンズがおすすめです。
特にレンズの水分量が多い高含水レンズは、大変やわらかく酸素透過性が高いため、コンタクトレンズが初めての人でも使いやすいでしょう。
ただし、高含水レンズは、レンズのうるおいを保つために涙や目の水分を吸収してしまうため、目の乾燥をまねきやすいというデメリットがあります。涙の量が少ない方、ドライアイの方、コンタクトレンズの装用時間が長い方には、あまりおすすめできません。
レンズケアに手間をかけたくない場合や、正しいレンズケアをする自信がない場合は、ワンデータイプのコンタクトレンズがおすすめです。
ワンデータイプのコンタクトレンズなら、レンズケアは一切必要ありません。また、毎日新しい清潔なレンズに交換するため、衛生的に使えます。旅行などへ行く際にも、洗浄液や保存液、レンズケースなどの用意は不要で、荷物が増えなくてすみます。
ただし、ワンデータイプは一度外すと再装用できません。1枚あたりのコストも、ほかのレンズに比べると若干高めです。コストパフォーマンスが気になる場合は、旅行のときや忙しいときなどに限定して使うとよいでしょう。
目の乾燥を抑えたい場合は、涙や目の水分を吸収しないハードコンタクトレンズがおすすめです。ハードコンタクトレンズの異物感が苦手でソフトコンタクトレンズを使いたい場合は、レンズ内の水分量が少なく乾燥しにくい、低含水レンズを選ぶようにしましょう。
なお、コンタクトレンズは、汚れが付いていると涙がレンズの表面にうまく広がらなくなるため、目が乾燥しやすくなります。このようなことから、目の乾燥が気になる場合は、汚れが蓄積しにくいワンデータイプのコンタクトレンズもおすすめです。
「アレルギーや花粉症があるけれど、コンタクトレンズを使いたい!」という場合は、汚れがたまりにくいワンデータイプのコンタクトレンズがおすすめです。
ワンデータイプなら毎日新しいレンズを使うため、汚れを次の日に持ち越すことがありません。毎回衛生的なレンズを使用できるため、ほかの目のトラブルも起きにくくなるでしょう。
花粉が付きにくい非イオン性素材のコンタクトレンズを選ぶのも良い方法です。メイクをする方には、花粉が付きにくく皮脂汚れにも強い、両性イオン素材のレンズをおすすめします。
コンタクトレンズの装用時間が長くなると、目が乾燥しやすくなり、酸素不足にともなう眼障害をまねくこともあります。
このような弊害を防ぐためには、目が乾燥しにくく酸素透過性が高いハードコンタクトレンズがおすすめです。ソフトコンタクトレンズの場合は、含水率が低く酸素透過性が高い、シリコーンハイドロゲル素材のものを選ぶとよいでしょう。
もっとも、初めてコンタクトレンズを使用する場合は、目に負担をかけてしまうことにもなるため、いきなり長時間レンズを装用してはいけません。医師の指示にしたがい、少しずつ装用時間を伸ばしていきましょう。
コンタクトレンズをスポーツ時に使用したい場合は、ずれにくく外れにくいソフトコンタクトレンズがおすすめです。
ただし、運動をすると汗などでコンタクトレンズが汚れやすくなります。したがって、通年使用タイプのソフトコンタクトレンズよりも、汚れが蓄積しにくいワンデータイプや2ウィークタイプなどの定期交換タイプのほうが適しているでしょう。
なお、プールや海などで泳ぐ際は、コンタクトレンズの使用はできません。
コンタクトレンズを付けたままプールなどに入ると、レンズと目の間に水が入り込んで外れやすくなります。また、吸水率の高いソフトコンタクトレンズでは、水中の塩素や雑菌を目に引き寄せることになり、浸透圧の影響でレンズが変形する場合もあります。
このようなリスクを防ぐためにも、プールなどに入る際には、必ずコンタクトレンズを外してください。
コンタクトレンズはインターネット通販などでも購入できますが、初めて購入する場合は医師の処方が必要です。
使用頻度や目の状態、希望のレンズのタイプなどを踏まえて、医師と相談しながら購入するコンタクトレンズを決めましょう。
コンタクトレンズ販売店には眼科が併設されている場合もあります。店頭でコンタクトレンズの使用が初めてであることを伝えて、眼科での検査の課程で装用練習もしっかり指導してもらうとよいでしょう。
なお、コンタクトレンズ販売店でレンズを購入する場合、販売店で受付とレンズの種類などを確認し、眼科で検査を受けて処方箋を発行してもらうのが一般的です。そのあと販売店へ戻り、コンタクトレンズの会計をすませたらレンズを受け取れます。
ただし、在庫がない場合は店側でメーカーに発注しなければならないため、受け取りは入荷後になります。
コンタクトレンズ購入後も、定期的な眼科受診は欠かせません。少なくとも3ヵ月に1回は受診して、目の健康状態をチェックしてもらいましょう。
コンタクトレンズにはいろいろな種類がありますが、それぞれのレンズの特徴を理解しておけばレンズを選ぶ際にも迷いにくくなります。
コンタクトレンズは、コストパフォーマンスや装用感、ケアの要否などで選ぶこともできますが、やはり大切なのは目の健康です。特に初めてコンタクトレンズを購入する場合は、眼科を受診して医師から処方を受けてください。
眼科を受診すれば、装用の練習はもちろんのこと、レンズケアや取り扱いに関する指導も受けられます。初めてコンタクトレンズを購入したあとも眼科を定期的に受診して、目の健康を維持するように心がけましょう。
公開日:2023/5/18
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