スポーツは、思い切り楽しみたいですよね。しかし、スポーツ時にメガネを使用するとズレたり外れたりする場合があるため、困っている方もいるのではないでしょうか。
そのようなメガネの不便さを解消し、クリアな視界を確保できるのが、コンタクトレンズです。特に、ソフトコンタクトレンズは目にフィットしやすいため、集中してスポーツに取り組めます。一方で、スポーツ時にコンタクトレンズを安全に使用するには、いくつかの注意点を守らなければなりません。
そこで今回は、スポーツ時にコンタクトレンズを使用するメリットを中心に、スポーツに適したコンタクトレンズの選び方や注意点を解説します。
まずは、スポーツ時にコンタクトレンズを使用すると、どのようなメリットが得られるのかを知っておきましょう。
スポーツをするときは、走り回ったり飛び跳ねたり、日常生活と比べて動くことが多くなります。このような場合でも、コンタクトレンズであれば安全に使用できます。
もちろん、メガネをかけたままでもスポーツはできますが、ズレてしまったり、走ったり跳んだりする衝撃で外れてしまう可能性が否定できません。
また、球技の場合はボールがメガネに当たって壊れてしまったり、状況によっては顔や目に当たって怪我をしたりする場合もあるため、とても危険です。
さらに、メガネをかけた状態でほかの選手と接触すると、フレームなどで相手を傷付けてしまうリスクもあります。
その点、フィット性の高いソフトコンタクトレンズなら、動きの激しいスポーツや選手同士の接触をともなうスポーツでも、ズレたり外れたりすることはあまりありません。
このようなことから、安全に、そして思い切りプレーするために、コンタクトレンズはとても有用なツールといえます。
広い視野が確保できるのも、コンタクトレンズの大きなメリットです。
メガネで矯正できる視界は、レンズを通して見える範囲のみで、レンズから外れた部分はぼやけてしまいます。これは、スポーツを楽しむ方にとって大きなデメリットでしょう。
しかし、コンタクトレンズは直接目に装用するので、視界を遮られることがなく、裸眼とほぼ同じ視野が確保できます。
実際、コンタクトレンズを装用した場合の視野は約210度ですが、メガネをかけた場合の視野は約120度で、90度も差があります。ボールの動きやほかの選手の動きを把握しなければならないプレーヤーにとって、コンタクトレンズの視野の広さは大きなメリットとなるでしょう。
メガネと違って汗や息などで曇ることがないのも、コンタクトレンズの大きな特徴です。
メガネは、スポーツ中の汗や呼気で曇ることがあるため、競技中に視界が悪くなることもあります。雨や雪、砂埃などの外的要因でレンズが汚れることもあるため、屋外の競技で使用するにはかなり不便です。
しかし、コンタクトレンズは目に直接のせて使用するため、汗や呼気で曇ることはありません。屋外でも天候による汚れを気にせず使用できるため、競技に集中できます。
コンタクトレンズはメガネと比べて見え方の変化が少ないことも、メリットの一つです。
メガネは、目とレンズの間に距離があるうえ、レンズの度数によっては網膜に映る像の大きさが変わるため、物の大きさが違って見えたり、歪んで見えたりすることがあります。また、メガネのレンズは目の動きに合わせて動くことはないため、視線とレンズの中心がズレると、距離感をうまく把握できなくなります。
一方、コンタクトレンズは目とレンズとの間の距離がほとんどないため、強度の近視でも、物の大きさや見え方が変わってしまうことがありません。また、目に直接のせるコンタクトレンズは目の動きに合わせて動くため、視線とレンズの中心にほとんどズレがなく、距離感を正しく把握できます。
このように、より自然に物を見られるコンタクトレンズは、スポーツをする方に欠かせないツールといえるでしょう。
ここからは、スポーツをする際に使いやすいコンタクトレンズの選び方を見ていきましょう。
スポーツをするときには、ハードコンタクトレンズよりも、目にフィットしやすいソフトコンタクトレンズがおすすめです。
ハードコンタクトレンズはサイズが小さく、スポーツをする際の衝撃でズレたり外れたりする場合も少なくありません。しかも、ハードコンタクトレンズがズレると相当な痛みをともなうため、競技の継続が難しくなるおそれがあります。
また、ハードコンタクトレンズが外れた場合には、踏みつけて破損させたり、紛失したりする可能性も否定できません。
一方、ソフトコンタクトレンズはサイズが大きく、瞳全体を覆うようにフィットするため、運動中でもズレたり外れたりするリスクが少なく、快適に使用できます。また、やわらかい素材でできているため、競技中に割れることもほとんどないでしょう。
もっとも、バスケットボールやラグビー、サッカーなど激しく動いて人とぶつかり合う競技をする際には、ソフトコンタクトレンズでも外れるおそれがあります。そのような場合は、「スポーツ時におすすめ」と謳っているワンデータイプのソフトコンタクトレンズを選ぶとよいでしょう。
ソフトコンタクトレンズのなかでも特におすすめなのが、ワンデータイプのコンタクトレンズです。
スポーツをすると通常より動きが激しくなるため、コンタクトレンズが傷んだり、土埃や汗などがレンズに付着して汚れたりするため、消耗が激しくなります。
ワンデータイプなら、毎日新しいコンタクトレンズに交換することになるため、汚れの蓄積を心配する必要がなく清潔に使用できます。さらには、面倒なケアも不要です。
蓄積した汚れによる目のトラブルを予防するためにも、スポーツ時にはワンデータイプのコンタクトレンズを使うのがおすすめです。
例外としては、ゴルフのように動きがあまり激しくなく、ほかの選手との接触も少ない競技であれば、通常のソフトコンタクトレンズでも特に問題なく使用できるでしょう。
また、普段はメガネやワンデータイプ以外のコンタクトレンズを使用しているという場合は、スポーツの練習や試合のときだけ、ワンデータイプのコンタクトレンズを装用するという使い方もできます。
コンタクトレンズを装用してスポーツをする際には、メガネや裸眼のときとは違う注意が必要です。
水泳のようにプールや海で行なうスポーツでは、コンタクトレンズを使用できません。プールの水に含まれる塩素や水中の雑菌がコンタクトレンズに付着すると、目に傷が付いたり、感染症にかかったりするおそれがあります。
また、コンタクトレンズは涙の浸透圧に合わせて作られているため、浸透圧の異なるプールの水や海水にふれると、変形や破損をまねくことになりかねません。同様の理由で、コンタクトレンズを装用したままシャワーを利用するのもNGです。
スポーツ時にコンタクトレンズを使用する場合は、スペアレンズを用意しておきましょう。そして、スポーツをしている最中にコンタクトレンズが外れたときには、必ず新しいコンタクトレンズに交換してください。
そもそも、ワンデータイプのコンタクトレンズは再装用できないため、外れた場合は新しいコンタクトレンズに取り換えなければなりません。
ワンデータイプ以外のコンタクトレンズを使用している場合でも、スポーツ中に外れたレンズには雑菌が付着していたり、破損していたりすることがあります。このようなコンタクトレンズを再装用すると目の健康を害するおそれがあるため、必ず交換してください。
ワンデータイプ以外のコンタクトレンズを使用している場合は、外した後にしっかりとレンズケアをしましょう。
スポーツで使用したコンタクトレンズには、汗や埃などの汚れが付着している場合があります。汚れが蓄積すると、コンタクトレンズの劣化をまねくだけではなく、感染症やアレルギーなどの原因になる場合もあるため大変危険です。
コンタクトレンズを安全に使い、目のトラブルを避けるためにも、スポーツで使用したコンタクトレンズはていねいにこすり洗いをして、汚れを落としましょう。汚れがひどい場合は、必要に応じてタンパク除去を行なってください。
「レンズケアをする時間がない」「毎回きれいなコンタクトレンズを使いたい」という場合は、ワンデータイプのコンタクトレンズを選ぶようにしましょう。
競技によっては、プレー中に砂や土などが目に入り、痛みを感じることがあるかもしれません。そのような場合は無理をせず、一度コンタクトレンズを外して、目やコンタクトレンズの状態を確認するようにしましょう。
また、競技中にほかの選手とぶつかったり、ボールが顔面に当たったりして、コンタクトレンズがズレたり破れたりする場合もあります。
競技中に目の痛みや違和感などに気付いたら、速やかに装用を中止してください。再装用できない場合に備えて、メガネを用意しておくこともおすすめします。
なお、ドライアイなどで目が乾燥しているときや、花粉症の症状がひどいときは、無理にコンタクトレンズを装用してはいけません。このような場合はメガネを使用して、目をいたわることを優先しましょう。
スポーツをする際には、ズレる・外れる・壊れる・曇るなどのリスクがあるメガネよりも、コンタクトレンズの使用がおすすめです。
コンタクトレンズなら、裸眼と同じように広い視野が確保でき、見え方の変化もほとんどありません。特に、ワンデータイプのコンタクトレンズであれば、レンズケアが不要で汚れの蓄積もないため、スポーツでの使用に適しています。
ただし、水中で行なう競技では、コンタクトレンズは使用できません。また、競技中に目の異常を感じた場合は、速やかにコンタクトレンズを外すなどの対応も必要です。
なお、スポーツ時だけコンタクトレンズを装用する場合でも、定期的な眼科受診は欠かさないでください。目の健康に配慮しながら、安全にスポーツを楽しみましょう。
公開月:2023/06