お子さんのコンタクトレンズデビューは、「中学校に進学するとき」と考えている方もいることでしょう。しかし、中学生はまだまだ子どもです。コンタクトレンズを正しく使用して目のトラブルを防ぐためには、保護者の方の協力が欠かせません。
そこで今回は、中学生がコンタクトレンズを使用するメリットや学校での注意点、そしてお子さんの目を守るために必要なサポートなどを解説します。「コンタクトレンズデビューしても大丈夫!」といえる条件にも触れますので、お子さんのコンタクトレンズデビューを迷っている方はぜひ参考にしてください。
まずは、コンタクトレンズデビューの目安と、デビューをOKするかどうかの判断基準を紹介します。
結論からいうと、コンタクトレンズを使うにあたって年齢制限はありません。
しかし、コンタクトレンズは目に直接つけるものですし、適切なレンズケアも必要です。扱い方が正しくないと目のトラブルをまねくおそれがあるうえに、治療が遅くなれば視力低下などのリスクもあります。
したがって、医師の指示を守れて、トラブル時にはコンタクトレンズを外すなどの適切な対処ができる年齢、つまり中学生くらいになれば使い始めてもよいでしょう。
コンタクトレンズデビューで大切なのは年齢ではありません。
まず、コンタクトレンズが高度管理医療機器である理由をきちんと理解することが大切です。つまり、コンタクトレンズを適切に管理して正しく使用しないと目に悪影響を与えるおそれがあることを、お子さん自身が自覚しなければならない、ということです。
加えて、コンタクトレンズを一人で脱着できること、レンズケアを怠らず清潔に正しく取り扱えることも大切です。
また、目に違和感があるなどのトラブルが生じた場合には、すぐに使用をやめて保護者の方に伝えられることも、コンタクトレンズデビューに欠かせない条件です。
そして、目に異常がない場合でも必ず定期検診を受けましょう。これは、目の健康を維持してコンタクトレンズを安全に使用するために、必ず守って欲しい条件です。
お子さんのコンタクトレンズデビューにあたっては、これらのポイントをすべて理解して守れるかを確認したうえで、使用の可否を判断してください。
お子さんがコンタクトレンズのリスクや取り扱いに関する注意点をきちんと理解し、眼科への定期受診を約束している場合でも、不安を感じる保護者の方はいるでしょう。それは、中学生のコンタクトレンズ使用にあまりメリットを感じていないからかもしれません。
しかし、行動範囲が広がり活発な運動をする機会が増える中学生だからこそ、得られるメリットもたくさんあります。
中学校で運動部に所属する場合、練習時間は小学生の頃に比べて長くなるうえに、内容もよりハードになります。競技によっては、メガネが邪魔になることもあるでしょう。
その点、コンタクトレンズは目に直接装用するため邪魔にならず、広い視界が確保できるため、競技の幅も広がるでしょう。
中学生くらいになると、見た目にも気を遣うようになります。メガネを嫌がり、授業中に外してしまう子もいるかもしれません。
しかし、コンタクトレンズを使えば顔の印象を変えずにすみます。今までメガネを使用していた場合は、イメージチェンジをねらうことも可能です。
コンタクトレンズはメガネと異なり、曇ることがないのも大きなメリットです。
メガネは呼気で曇りやすく、学校や塾でマスクを着用する場合、授業の妨げになることもあります。また、メガネをかけていると、運動や調理実習、給食の配膳時に湯気で曇ってしまうこともあるでしょう。
しかし、コンタクトレンズならば視界の曇りを気にする必要がなく、メガネを外して曇りをふき取るような手間もありません。大人からすれば些細なことかもしれませんが、中学生だからこそ、このような点も大きなメリットになります。
成長期の中学生は近視の度数が変化しやすく、成長にともない目の大きさも変わってきます。
しかし、コンタクトレンズは度数やBC(ベースカーブ:レンズの曲がり具合を表す数値)の変更が比較的容易です。購入のたびに眼科で処方箋を発行してもらえば、そのときの目の状態に応じた適切なコンタクトレンズを処方してもらえるため、目のトラブル予防にも役立ちます。
それでは、中学生が学校でコンタクトレンズを使用する際には、どのような点に注意すればよいのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
学校生活においては集団行動が求められる場面も多く、コンタクトレンズが外れてしまった場合にすぐに装用できないことがあります。また、後述しますがコンタクトレンズを外さなければならない事態に直面することもあるでしょう。そういった場合に備えて、必ずメガネを持たせてください。度数の合うメガネがない場合は、早めに購入して学校へ持っていけるようにしましょう。
プールではコンタクトレンズを使用できません。水泳の授業があるときはコンタクトレンズを外すように、声をかけてください。
コンタクトレンズを装用したままプールに入ると、レンズが外れるリスクが高くなります。また、水に含まれる塩素や雑菌がレンズに引き寄せられて、目の炎症や感染症をまねくおそれがあります。
さらに、プールの水と涙では浸透圧が異なるため、コンタクトレンズが変形するリスクも否定できません。
なお、ゴーグルをつけていても、コンタクトレンズは外さなければいけません。「視力が悪いからコンタクトレンズを外せない!」というお子さんには、度付きゴーグルを用意するとよいでしょう。
学校で目の痛みやかゆみ、違和感などの異常に気付いた場合は、速やかにコンタクトレンズを外してメガネに替えるように指導しましょう。そして、帰宅後すぐに保護者の方へ伝えることも約束させてください。
目の異常を無視してコンタクトレンズを使い続けると、角膜(黒目の部分)に傷が付いたり、感染症が悪化して失明したりする場合もあります。
保護者の方は、お子さんから目の異常について相談されたら、できるだけ早く眼科で診察を受けさせてください。
ここからは、中学生がコンタクトレンズを使用する際に、保護者の方が積極的にサポートすべきことを解説します。
保護者の方は、日頃からお子さんの目の状態を気にしてあげてください。また、お子さん自身が目の異常に気付いた場合は、その都度知らせるように指導することも大切です。
目の異常は、自覚症状がないまま進行する場合もあります。普段からお子さんを見守っている保護者の方であれば、ちょっとした目の充血や目やに、無意識のうちに目をこすっている様子など、いち早く気付けることもあるでしょう。
そして、目に何らかの異常を認めた場合は、すぐにコンタクトレンズの装用を中止させて眼科へ連れて行ってください。早めに眼科を受診すれば、重篤な目のトラブルを防ぎやすくなります。
お子さんが正しくコンタクトレンズを使用しているか、またケア方法が適切かどうかも、しっかりチェックしてください。
中学生になると、家に帰ってから勉強する時間も長くなるため、コンタクトレンズの装用時間も長くなりがちです。疲れから、居眠りやうたた寝をしてしまうこともあるでしょう。
しかし、コンタクトレンズは眼科の先生に指示された装用時間をきちんと守って使用しないと、目に大きな負担がかかってしまいます。また、コンタクトレンズを装用したまま眠ってしまうと、感染症につながったり、目の乾燥によりダメージを受けやすくなったりします。必要に応じて、帰宅後はメガネに替えるよう声をかけるなど、コンタクトレンズを正しく使用するように促しましょう。
そして、レンズケアについても確認してください。おもなチェックポイントは、しっかりこすり洗いができているか、保存液を交換しているか、使用期間を超えて使っていないか、などです。デイリーケアが苦手な場合は、ケアの必要がないワンデータイプの使用も考えてあげましょう。
目の健康を守るために、3ヵ月に1回は眼科を受診して定期検査を受けさせてください。
眼科で処方されたコンタクトレンズを使っている場合でも、度数が変わったり目の健康状態が変化したりするとレンズが目に合わなくなってきます。しかし、眼科を定期受診すれば、その都度目に合うコンタクトレンズを処方してもらえるため安心です。
受診間隔が長くなると目の異常を見逃すおそれがあります。また、レンズケアが不適切であっても、なかなか気付けません。
目のトラブルを未然に防ぐためにも、3ヵ月に1回の定期受診は忘れないようにしましょう。
コンタクトレンズは、おおむね中学生くらいになれば正しく使用できるようになります。
しかし、中学生のコンタクトレンズ使用にあたっては、保護者の方のサポートも欠かせません。特に、目の状態を観察すること、コンタクトレンズの装用時間や使用期間をチェックすること、適切なレンズケアをしているか確認することなど、保護者の方のほうが気付きやすいこともあります。
最近は、インターネット通販などで簡単にコンタクトレンズを購入できるようになりました。しかし、コンタクトレンズを安心して使用するためには、眼科受診が欠かせません。お子さんの目の健康を守るためにも、コンタクトレンズを購入する際には眼科を受診するようにしましょう。
公開日:2023/4/25