「コンタクトレンズを使っていたら、いつの間にか目が充血していた……」という経験はありませんか。
目の充血は、しばらくすると自然に目立たなくなることもありますが、レンズトラブルや眼障害のサインである可能性も否定できません。それでは、どのようなことが原因で目が充血するのでしょうか。
今回は、コンタクトレンズ装用時に目が充血するおもな理由と、目を守るための対処法を紹介します。
まずは、白目が充血する仕組みを知っておきましょう。
白目の表面は、「結膜」と呼ばれる薄い粘膜で覆われています。結膜には数多くの血管が通っていますが、非常に細いため、通常は血管が目立つことはありません。しかし、何らかの原因で血管が広がると、白目の部分が赤く見える状態になります。これが「充血」です。
目の充血は、外部からの刺激による目の炎症や目の病気、疲れ目などが原因で起こります。目にとってコンタクトレンズは「異物(外部からの刺激)」なので、目が慣れるまでは充血することがあるかもしれません。
しかし、コンタクトレンズに慣れたあとも充血が続く場合は要注意です。不適切な使用や目の病気が充血の原因となっている場合もあるため、適切な対処が必要です。
では、どのようなことが白目の充血の原因になるのでしょうか。まず、コンタクトレンズに原因がある場合を見ていきましょう。
不適切なレンズケアが原因で、目が充血する場合があります。
特に、ワンデー以外のデイリーケアが必要なタイプは要注意です。コンタクトレンズに汚れや傷があると、目にかゆみが生じたり目に傷が付いたりして、充血を起こすことがあります。また、目にできた傷から雑菌が侵入すると、細菌感染症を起こして充血する場合もあります。
コンタクトレンズの使い方が不適切な場合も、目が充血しやすくなります。よくあるのは、以下のような場合です。
・ワンデータイプのコンタクトレンズを繰り返し使う
ワンデータイプのコンタクトレンズは、繰り返しの装用を想定していません。そのため、何度もつけ直したり、何日も使用したりすると、レンズが劣化したり、雑菌が繁殖したりするなどして、目の充血をまねくおそれがあります。
・装用時間を守っていない
コンタクトレンズを装用すると、目の表面を覆っている涙の状態が不安定になるため、目が乾燥しやすくなります。また、コンタクトレンズの装用時間が長くなると、目に十分な量の酸素や栄養が供給されません。
そのため、コンタクトレンズの装用時間が長くなり過ぎた場合、目の乾燥や酸素不足から充血をまねきやすくなります。
・コンタクトレンズをつけたまま眠ってしまう
コンタクトレンズを外さずに寝てしまうのもよくありません。装用時間を守っていない場合と同様に、目の乾燥や酸素不足から充血をまねくおそれがあります。目に傷が付いたり感染症にかかったりするリスクも高くなるため、非常に危険です。
・プールや海水浴などの際にコンタクトレンズを外さない
プールの水や海水には、雑菌が多く含まれています。プールの水や海水がコンタクトレンズに付着して目に長くとどまると、感染症にかかって目の充血をまねくことになりかねません。
コンタクトレンズは涙の浸透圧に合わせて作られているため、プールの水や海水に触れると変形してしまうこともあり、この場合も目の充血の原因となります。
目に合わないコンタクトレンズを使っている場合も、目が充血するリスクが高くなります。
特に、BC(ベースカーブ:レンズの曲がり具合を表す数値)が小さ過ぎるコンタクトレンズを使うと、目が圧迫されて充血や痛みを生じやすくなります。
BCは自分では測れないため、眼科を受診して測定してもらわなくてはなりません。コンタクトレンズを購入する際には必ず眼科を受診して、目に合うものを処方してもらいましょう。
次は、目の不調が原因で充血が起きている場合を見ていきましょう。
目は涙から酸素を取り入れていますが、コンタクトレンズを装用すると目の表面がレンズで覆われることになるため、供給される酸素の量が少なくなってしまいます。その結果、酸素不足を補うために血管が拡張し、目が充血してしまいます。
特にソフトコンタクトレンズは要注意です。ハードコンタクトレンズに比べて目の表面を広く覆うため、より酸素不足をまねきやすいとされています。
目の乾燥も充血の原因の一つです。
目が乾燥すると、目にかかる負担が大きくなるため、充血を起こしやすくなります。
目の乾燥のおもな原因は、涙の減少やまばたきの減少、空気の乾燥、コンタクトレンズの汚れ、ドライアイなどです。特にコンタクトレンズ装用中は、レンズによって涙の層が分断されて不安定な状態になるため目が乾燥しやすく、充血のリスクが高まります。
目や涙の病気で充血が起きることもあります。
充血の原因となる病気は、ドライアイやアレルギー性結膜炎、感染性角膜炎(例:細菌性角膜炎、真菌性角膜炎、角膜ヘルペス、アカントアメーバ角膜炎)などさまざまです。
充血の原因が病気の場合、症状によってはコンタクトレンズの使用を中止しなければなりません。また、治療が遅れると視力が低下することもあるため、できるだけ早く眼科を受診して、適切な治療を受ける必要があります。
ここからは、コンタクトレンズの装用で目が充血したときの対処法を解説します。
目の充血に気付いたら、できるだけ早くコンタクトレンズを外して目の負担を減らしましょう。
再装用可能なコンタクトレンズの場合は、いったん外して目を休ませてから再装用してください。ただし、ワンデータイプは一度外したら再装用できません。必ず新しいコンタクトレンズに取り替えてください。
もっとも、無理にコンタクトレンズを装用する必要はありません。不調が気になる場合は、メガネで過ごすようにしましょう。
目が充血する場合は、コンタクトレンズの使い方やケア方法を見直すことも重要です。
コンタクトレンズの装用時間は、規定の時間を守るようにしましょう。たとえ装用時間を守っている場合でも、目が充血する場合は早めに外すようにしてください。
装用時間を守っていても目が充血する場合は、コンタクトレンズの酸素透過率もチェックしましょう。酸素透過率は、パッケージなどに記載されている「Dk/L値」で確認できます。Dk/L値が高いほど、酸素透過率は高くなります。
レンズケアの方法を見直して、コンタクトレンズを清潔に保つことも大切です。デイリーケアが面倒な場合や正しくレンズケアをする自信がない場合は、眼科を受診してワンデータイプへの変更を希望するとよいでしょう。
充血が続く場合や頻繁に充血する場合には、早めに眼科を受診して目の状態を診察してもらいましょう。
何が原因で充血しているかは、医師に診察してもらわなければわかりません。自己判断で誤ったケアをすると症状が悪化するおそれがあるため、症状が軽いうちに眼科を受診するようにしてください。
なお、充血など目の異常がない場合でも、3ヵ月に1回を目安に受診して、目の健康状態をチェックしてもらいましょう。定期受診すれば、度数の変化にも対応してもらえるだけでなく、目の状態に応じたコンタクトレンズを処方してもらえます。
目にとってコンタクトレンズは異物であるため、使い始めに目が充血するのはよくあることです。ただし、充血が続く場合は放置してはいけません。コンタクトレンズの使用方法を見直したり、適切なレンズケアを心がけたりするなどして、目にかかる負担を減らすようにしましょう。
コンタクトレンズの使用中、目の病気が原因で充血する場合もあります。目に異常があると感じたら、早めに眼科を受診して適切な治療を受けるようにしてください。
公開日:2023/4/25