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視力の左右差が大きい「不同視」にはコンタクトレンズがおすすめ!

両目の視力の差が大きく、「メガネを作るのが難しい」といわれたことはありませんか。小児の健康診断などで、お子さまの視力が片側だけ極端に悪いことを指摘され、不安になっている方もいるかもしれません。
このように、視力の左右差が大きい場合は「不同視」の可能性があります。

今回は、不同視が疑われる症状やおもな原因、放置した場合に生じうる弊害、矯正にコンタクトレンズが有用な理由などを解説します。

■左右の視力の差が大きい「不同視」とは

左右の視力の差が大きく、度数が2D(ディオプトリー)以上違う場合を「不同視(通称:がちゃ目)」といいます。不同視には、以下のようにいろいろなパターンがあります。

・ 片目に問題がなく反対側の目が遠視の場合
・ 片目が弱い近視で反対側の目が強い近視の場合
・ 片目が近視で反対側の目が遠視の場合
など

小児の不同視の発現率は5~6%程度とされています。ただ、子どもの場合、片目の視力が正常だと生活で不自由することが少ないため、反対側の目の異常になかなか気付けません。そのため、3歳児健診や就学時健診などで初めてわかる場合もあります。

なお、左右の視力差が大きいと、以下のような症状があらわれやすくなります。

・ 物がブレて見える
・ 対象物との距離感がよくわからない
・ 目の疲れを感じる
・ 眼精疲労の症状(めまいや頭痛、吐き気、肩こりなど)がある
など

上記の症状があり、左右の見え方に違いがある場合でも、眼科で診察を受けなければ不同視かどうかはわかりません。目の病気が原因で左右の視力差が生じることもあるので、気になる症状がある場合は早めに眼科を受診しましょう。

■不同視の原因

不同視の原因は多岐にわたります。ここでは、おもな原因を見ていきましょう。

◇左右の眼球の大きさや形状が違う
私たちが物を見るときは、瞳孔を通じて目に入った光が虹彩で調節され、水晶体で屈折し、眼球内を満たしている硝子体を通って網膜に像が映し出されます。
しかし、左右の眼球の大きさや形に違いがあると見え方(視力)に差が出て、不同視になることがあります。

眼球の大きさや形状で左右差が生じるのは、成長過程や遺伝的な要素の影響が大きいようです。

◇片目だけで見る癖がある

片目だけで見る癖がある場合も、左右の視力差が生じやすくなります。

例えば、片目が遠視で反対側の目に問題がない場合、遠視側の目は遠くも近くもはっきり見えないので、見えるほうの目ばかり使ってしまいがちです。このような状態が続くと、悪いほうの目の視力が育ちにくくなるため、視力差がさらに広がるおそれがあります。

また、スマートフォンなどを見るときに寝転がって片側の目ばかり使っていると、水晶体の厚さをコントロールする筋肉がうまく働かなくなり、左右の目に視力差が生じることもあります。

◇目の病気

片側の目の視力だけが低下する場合は、目の病気が隠れている可能性も否定できません。
片目の視力低下をまねくおそれがある病気としては、以下のようなものがあります。

・ 白内障:水晶体が濁って白っぽく変化する病気。加齢によるものが多いが、外傷やアトピー性皮膚炎、ほかの目の病気が原因で生じる場合もある。

・ 急性緑内障発作:急激に眼圧が高くなる病気。片側のみに起こることが多い。視力低下のほか、目の痛みや充血、頭痛、吐き気などをともなうことがある。

・ 網膜剥離:網膜が眼球の内側からはがれてしまう病気。外傷や目のこすり過ぎ、強度の近視などが原因になることもある。

・ ぶどう膜炎:目の中に炎症を起こす病気の総称。免疫異常や細菌・ウイルス感染、外傷や悪性腫瘍などが原因で生じることもあるが、原因不明の場合も多い。

これらの病気は進行すると失明に至ることもあるため、早急な治療が必要です。

■不同視を放置してはいけない理由

では、不同視を放置するとどうなるのでしょうか。起こりうる症状と放置してはいけない理由を併せて解説します。

◇眼精疲労をまねきやすくなる

不同視があると、網膜に映し出される像の大きさに差が生じます。この「ズレ」を脳がうまく処理できないと、疲労(眼精疲労)をまねきやすくなります。

眼精疲労は、目が疲れやすくなるだけではなく、目の痛みやかすみ、まぶしさ、充血などをともなうこともまれではありません。さらに、頭痛や肩こり、吐き気など全身に症状が生じることもあります。

眼精疲労は休憩や睡眠をとっても症状が続くことが多いため、不同視の矯正はとても大切です。

◇子どもの不同視は弱視の原因にも!

子どもの不同視は、弱視の原因にもなるため特に注意が必要です。

8歳くらいまでの子どもの場合、不同視を放置すると見えないほうの目が弱視になることがあります(不同視弱視)。これは、視力差を放置した結果、見えるほうの目だけで見るのが癖になり、見えないほうの目の視力が成長しなくなるためです。

弱視になると、メガネなどで矯正しても十分な視力を得られないおそれがあります。また、片目の視力が悪いと、遠近感や立体感などをとらえにくくなり、両目で物を見る機能(両眼視機能)の発達が妨げられることにもなります。

子どもの不同視は、早期に発見して適切な治療・訓練を行なえば、視力が良好に成長するケースが多いとされているので、不同視を指摘されたら速やかに眼科を受診しましょう。

■不同視の対策にはコンタクトレンズがおすすめ

左右の視力の差が大きい場合、メガネでは矯正が難しい場合があります。特に左右の視力差が大きい不同視では、コンタクトレンズでの視力矯正が大変有用です。

◇左右の視力差が大きいとメガネでの矯正は難しい

不同視をメガネで矯正すると、左右のレンズの厚みがかなり異なります。レンズの厚みが違うと、網膜に映る像の大きさにも差が出てくるため、見え方の違和感や目の疲れを覚えやすくなります。

そもそもメガネで視力を矯正する場合、左右の度数が2D以上違うと両眼視が難しくなるとされているため、不同視の矯正には向きません。左右の見え方を調節してメガネを作ることもありますが、矯正が難しい場合や眼精疲労の症状がひどい場合などは、ほかの矯正方法を検討するべきでしょう。

◇コンタクトレンズなら不同視の視力矯正も可能

メガネと違いコンタクトレンズは目に直接装用するため、左右の視力の差が大きくても矯正後の見え方に差はほとんどありません。強度の近視や遠視でも、コンタクトレンズを使えば対象物を実物とほぼ同じ大きさで認識できます。

また、コンタクトレンズなら片目のみの装用も可能です。片側の視力に問題がなく、反対側の目が極端に悪い場合でも使えるため、コンタクトレンズは不同視対策に適したアイテムといえます。

■不同視の対策にコンタクトレンズを使う場合の注意点

不同視対策にはコンタクトレンズがおすすめですが、使用にあたってはいくつかの点に注意しなければなりません。

◇左右の取り違えに気を付ける
不同視対策としてコンタクトレンズを使う場合、当然のことながら左右の度数が大きく異なります。また、BC(ベースカーブ:レンズの曲がり具合を示す数値)など度数以外のレンズデータが異なる場合もあるかもしれません。したがって、左右のレンズの取り違えに注意が必要です。

使い捨てのワンデータイプの場合は、開封・装用前にレンズデータを確認して、間違えて装用しないようにしましょう。コンタクトレンズのパッケージに「右目用」「左目用」と書き込んでおいたり、目印となるシールを貼っておいたりするのもおすすめです。

もっとも、2ウイークタイプやマンスリータイプなどの定期交換タイプ、長期間使用できるコンベンショナルレンズは、毎回レンズデータを確認できるわけではありません。そのため、装用する順番・外す順番を決めておくとよいでしょう。

◇子どものコンタクトレンズ使用には保護者の方の協力が必要

子どもの不同視のためにコンタクトレンズを使う場合は、保護者の方の協力が不可欠です。

定期交換タイプやコンベンショナルレンズを使う場合は、デイリーケアがきちんとできるようにサポートしてください。「保存液は毎回替える」「レンズケースを定期的に交換する」「使用期間を守る」などのルールも、きちんと守るように促しましょう。
衛生面の管理に不安がある場合は、ワンデータイプへの変更も考慮してください。

また、目にかゆみや痛み、充血などの異常がある場合は、すぐに眼科を受診しましょう。目の異常を放置すると、コンタクトレンズを装用できなくなることもあります。

◇眼科を定期受診する

コンタクトレンズでの眼障害を防ぐため、3ヵ月に1回は眼科を受診しましょう。コンタクトレンズが原因の目のトラブルは、受診間隔が3ヵ月を超えている人に多発しています。

なお、目の状態によっては医師から受診間隔を指示されることもあります。その場合は医師の指示に従い、自己判断で受診間隔を空けすぎないようにしてください。

■まとめ

左右の視力差が大きい不同視は、適切な対応をしないと眼精疲労や弱視をまねくこともあります。不同視の原因はいろいろありますが、片目で物を見る癖や目の病気で片側の視力が悪くなることもあるため、気を付けなければなりません。
特に子どもの不同視は、早期発見と適切な治療・トレーニングで視力が良好に成長する可能性があります。したがって、不同視と診断されたら早めに対処しましょう。

不同視の矯正には、メガネよりもコンタクトレンズがおすすめです。コンタクトレンズなら、見え方の違和感や眼精疲労が生じるリスクが少ないため、より快適に過ごせるでしょう。ただし、コンタクトレンズの使用にあたっては、取り扱いや衛生管理に注意が必要です。3ヵ月に1回は眼科を受診して、医師と相談しながら不同視対策に取り組みましょう。

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