情報化社会の発展にともない、目を酷使する環境にいる人が増加しています。
もちろん、子どもたちも例外ではありません。実際、スマートフォンやパソコン、TVゲームなどの普及が、視力低下の低年齢化の一因ともいわれています。子どもの視力低下は学習面や生活面にも大きく影響するため、保護者の適切なフォローが欠かせません。
視力矯正の手段としては、メガネやコンタクトレンズを用いるのが一般的です。しかし、コンタクトレンズは目に直接装用しなければならないため、「子どもに使わせるのは不安……」という方も多いでしょう。
そこで今回は、子どものコンタクトレンズデビューの条件や目の健康を守るための注意点などをまとめました。子どものコンタクトレンズ使用に疑問や不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてください。
まず、多くの方が疑問に感じている「コンタクトレンズの使用可能年齢」についてです。
実は、コンタクトレンズの使用に年齢制限はありません。子ども用のコンタクトレンズも販売されておらず、大人と同じものを使用します。しかし、コンタクトレンズは、正しく取り扱わないと角膜を傷つけたり眼病をまねいたりするおそれがあるものです。そのため、コンタクトレンズデビューには、年齢よりも「正しく使用できるか」がとても重要になります。
つまり、コンタクトレンズを正しく使用して適切に管理できるなら、小学生であってもコンタクトレンズデビューは可能です。逆に、中高生くらいの年齢であっても、適切な取り扱いやレンズケアなどができない場合は、コンタクトレンズの使用を控えるべきでしょう。
それでは、どのようなことができるようになったら、子どもにコンタクトレンズを使わせてよいのでしょうか。子どものコンタクトレンズデビューに欠かせない条件を、項目ごとに詳しく見ていきましょう。
まず、コンタクトレンズの付け外しが一人でできることは、コンタクトレンズデビューの必須条件です。ソフトコンタクトレンズの場合は、裏表の判断ができるかどうかも重要になります。
コンタクトレンズは目に直接装用しなければならないため、付け外しを他人に任せることはできません。また、正しく付け外しができないと角膜を傷つけるおそれがあります。さらに、一人で着脱ができないと、目に痛みがあるときなどにすぐに外せないため、大変危険です。
したがって、眼科を受診してトライアルレンズの着脱がうまくできない場合は、時期尚早と考えるべきでしょう。
コンタクトレンズは、使い捨てのワンデータイプを除き、レンズをこすり洗いするなどのデイリーケアが必要です。
適切なケアができず、汚れたままのコンタクトレンズを装用すると、眼病をまねくおそれがあります。また、コンタクトレンズを清潔に保つためには、「レンズケースの乾燥や定期的な交換」「保存液の使い回しをしない」などの注意事項も守らなければなりません。
レンズケアについては保護者の方がフォローすることも可能です。デイリーケアに慣れるまではそばに付き添い、コンタクトレンズを衛生的に管理できるよう手助けしてあげてください。
なお、どうしてもレンズケアがうまくできない場合は、ワンデータイプの使用も考えましょう。ワンデータイプならデイリーケアが不要で、毎回清潔なコンタクトレンズを使用できます。
目の健康を守るためには、「1日の装用時間を守る」「定期交換レンズは期間を超えて使用しない」など、装用に関するルールをきちんと守らなければなりません。
したがって、子どものコンタクトレンズデビューを考え始めたら、コンタクトレンズに関するさまざまなルールを説明し、それらを守れるか確認しましょう。できれば、ルールを守らない場合にどのようなことが起きるのかも併せて説明してあげてください。
装用に関するルールと守らない場合のリスクがしっかり理解できていれば、コンタクトレンズデビューがよりスムーズに進むはずです。
コンタクトレンズを使えない場面は、日常生活のなかにたくさんあります。特に学校など保護者の目の届かない場所では、子ども自身がコンタクトレンズの装用の可否を判断しなければなりません。そのため、子どものコンタクトレンズ使用にあたっては、装用を避けるべき場面を子ども自身がきちんと理解していることも重要です。
例えば、学校の授業や習い事でプールに入る際には、コンタクトレンズを外さなければなりません。入浴時のコンタクトレンズ装用もNGです。また、短時間であっても、寝るときはコンタクトレンズを外す必要があります。さらに、目に痛みなどがあるときは、速やかにコンタクトレンズを外さなければなりません。
このような「コンタクトレンズを使ってはいけない場面」をきちんと理解できるようになるまでは、コンタクトレンズデビューさせるべきではないでしょう。
メガネを併用していることも、コンタクトレンズデビューの必須条件です。
きちんと視力矯正できるメガネがないと、指示された装用時間を超えてコンタクトレンズを使い続けるおそれがあります。また、目に痛みやかゆみなどが生じても、メガネがないとコンタクトレンズをすぐに外せません。
そのため、コンタクトレンズデビューする際には、併せてメガネも用意してください。そして、目に何らかの異常が生じたときにはすぐメガネに切り替えられるように、常に携帯させるようにしましょう。
目の痛みやかゆみ、充血、違和感など、目のトラブルを保護者に伝えられるかどうかも、コンタクトレンズデビューの可否を判断する重要なポイントです。
目にトラブルが生じたときは、コンタクトレンズを外すだけではなく眼科への受診が必要になる場合もあります。特にコンタクトレンズによる眼障害は、放置すると視力障害や失明などに至る場合もあるため大変危険です。
したがって、目の異常に子ども自身が気付けること、その異常を保護者に伝えられることは、コンタクトレンズデビューに欠かせない条件といえます。
最後に、コンタクトレンズで子どもの目の健康を害さないためのポイントを解説します。
子どものコンタクトレンズデビューを決めたら、まず眼科を受診しましょう。
コンタクトレンズは、適切な管理が必要な高度管理医療機器です。誤った使用は健康被害をまねくおそれがあるため、必ず眼科医による検査・処方を受けてください。
目の健康状態に問題がなく、「一人で着脱が可能か」「コンタクトレンズを正しくケアできるか」などの点がクリアできたら、コンタクトレンズの処方箋が発行されます。
コンタクトレンズで目の健康を害さないためには、装用に関するルールを決めておくことも大切です。
まず、装用時間は必ず眼科医の指示にしたがってください。
装用する場面は、子どもと話し合って決めておきましょう。例えば、装用するのはスポーツをするときのみにし、家では外すなど具体的にしておくと管理がしやすくなります。
装用してはいけない場面も、きちんとルール化しておきましょう。特に寝るときや、プールに入るとき、入浴時にコンタクトレンズを外すのはルール化して、子どもに守らせてください。
また、トラブル時の対応もあらかじめ決めておきます。目に痛みやかゆみ、充血などがあるときはコンタクトレンズを外してメガネに替えること、その際すぐに保護者に伝えることなどは、コンタクトレンズデビューに欠かせないルールです。
コンタクトレンズは、基本的にワンデータイプ以外は毎日のケアが必要で、使う人自身が管理を行なわなければいけないものです。しかし、子どもがコンタクトレンズを使用する際には、保護者の方も一緒にコンタクトレンズのケアや管理にかかわってください。
特に、子どもが初めてコンタクトレンズを使う場合、保護者の指導・管理は不可欠です。親子でコンタクトレンズの適切な使用に取り組み、子どもの目の健康を守りましょう。
また、日頃から子どもの目の状態にも気を配り、気になる症状がある場合は声をかけて目にトラブルが生じていないかチェックしてください。
子どもがコンタクトレンズデビューしたら、気になる異常がなくても定期的に眼科を受診して、目の健康状態を診察してもらってください。眼科の定期受診を怠ると目のトラブルを見逃すおそれがあるため、目の健康を害するリスクが高くなります。
また、成長期の子どもは短期間で視力が変化する場合も珍しくないため、コンタクトレンズの度数もこまめにチェックしなければなりません。合わないコンタクトレンズを使い続けると、目だけでなく体にも大きな負担がかかり、肩こりや頭痛、だるさなどの症状が生じることがあります。
これらのリスクを防ぐためにも、眼科を定期受診することはとても大切です。視力が変化しやすい小中学生は、3ヵ月に1回は眼科で検査を受けるようにしましょう。
コンタクトレンズの使用に年齢制限はありません。コンタクトレンズを正しく使用して適切に管理できるなら、何歳であってもコンタクトレンズデビューは可能です。
ただし、子どものコンタクトレンズ使用にあたっては、保護者の指導・管理が欠かせません。特に定期的な眼科健診は、成長期の子どもにとって大変重要なものです。
子どもの目の健康を守り、見えづらさにともなう不便さを解消するためにも、眼科医と相談してコンタクトレンズデビューの可否を判断しましょう。
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更新日:2023/9/5