コンタクトレンズがずれた際に、レンズがもとの位置になかなか戻らなかったり、鏡で確認しても見つからなかったりして焦ったことはありませんか。特にコンタクトレンズを利用し始めて間もない方は、ずれたときの対処方法がわからずに困ってしまうことも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、コンタクトレンズがずれる原因と対処法を解説します。ずれる原因を解消し、快適に過ごすための注意点も紹介しますので、ぜひ実践してみてください。
コンタクトレンズがずれやすいのは、以下のようなときです。
l 目が乾燥している
l コンタクトレンズを正しく装用していない
l 目に何らかの異常がある
l コンタクトレンズが目に合っていない
その他、コンタクトレンズを使用する環境が影響していることもあります。
いずれの場合も原因を理解して正しく対処すれば、「ずれ」を防ぐことが可能です。次章からは、コンタクトレンズがずれる原因をさらに詳しく見ていきましょう。
コンタクトレンズがずれる原因は、おもに4つです。放置すると目の病気につながるおそれもあるため、早めに原因を特定しましょう。
目が乾燥すると、コンタクトレンズがずれやすくなります。
コンタクトレンズが目の動きに合わせて動く理由は、レンズが目の表面にある涙に浮いているからです。しかし、何らかの原因で涙が不足する(=目が乾燥する)と、レンズが目の動きについていけなくなり、ずれやすくなります。
目が乾燥する原因として考えられるのは、空気の乾燥、まばたきの減少、レンズの汚れ、ドライアイなどです。 コンタクトレンズの長時間装用やレンズを付けたままの昼寝なども目の乾燥を招く原因になります。
コンタクトレンズを装着した際に裏表が逆になっている場合にも、レンズがずれやすくなります。
コンタクトレンズは目の丸みに合うようにデザインされ、裏表が正しい状態であれば、きれいなお椀型になります。しかし、裏返しになっているとレンズの縁部分が外側に反ってしまうため、目にうまくフィットしません。
ソフトコンタクトレンズの場合は、裏返しになっていても装用可能ですが、裏表が逆になっていると、ずれたり違和感を覚えたりします。
目の炎症が原因で、コンタクトレンズがずれることもあります。特に多い炎症は結膜炎です。
結膜炎は、白目とまぶたの裏側を覆っている結膜が炎症を起こす病気です。充血やまぶたの腫れ、目やになどの症状があらわれます。 コンタクトレンズをよく使用していると、レンズによる摩擦や汚れが原因で、巨大乳頭性結膜炎(まぶたの裏側に多くのブツブツができる病気)になることも稀ではありません。
巨大乳頭性結膜炎になると、まばたきをするたびにコンタクトレンズがまぶたの裏側のできものに引っかかるため、レンズがずれやすくなります。
コンタクトレンズの形が目に合っていないことが原因で、レンズがずれることもあります。そのため、コンタクトレンズはBC(ベースカーブ:レンズの曲がり具合)の選び方に注意しましょう。
ハードコンタクトレンズは硬い素材で作られているため、BCが合っていないと目にうまくフィットしません。例えば、BCが大きすぎると(カーブがゆるすぎると)、ずれたり外れやすくなったりします。
一方、やわらかい素材で作られているソフトコンタクトレンズは、BCの数値が大幅に違わない限り、装用感が変わることはほとんどありません。しかし、BCが大きすぎるレンズを使用すると、ずれたり外れたりがしやすくなります。
なお、コンタクトレンズのBCは左右で同じとは限りません。左右でBCが異なる場合、入れ方を間違えるとずれやすくなるため、レンズを扱う際には左右もしっかり確認しましょう。
それでは、コンタクトレンズがずれてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。ここからは、レンズがずれた場合の対処法を解説します。
コンタクトレンズがずれたときにありがちなのが、レンズがどこにあるのかわからなくなってしまうケースです。
「ずれただけ」「目の中にあるはず」と思っていても、レンズが顔や衣類に付いていたり、洗面台などに落ちていたりする場合もあります。コンタクトレンズがずれた際には、コンタクトレンズが外れた可能性も考えながら、身の回りをくまなく探しましょう。
特に、ハードコンタクトレンズを使用している場合は、むやみに動いてレンズを踏んでしまうことがないように注意してください。
コンタクトレンズが目の中にあるのが明らかな場合は、鏡を使ってレンズを探しましょう。位置を確認できたら、レンズが動かないように目を外側から押さえ、レンズと重なるように黒目を動かして正しい位置へ戻します。うまく戻らない場合は、コンタクトレンズ用の目薬をさしてから、もう一度位置を調整してください。
鏡を見てもコンタクトレンズの位置がわからない場合は、まぶたを閉じて目を上下左右に大きく動かしてみましょう。涙が分泌されて目が潤い、レンズが正しい位置に戻りやすくなります。目の潤いが足りない場合は、コンタクトレンズ用の目薬を使いましょう。
これらの方法を試してもコンタクトレンズの位置がわからない場合や、レンズを正しい位置に戻せない場合、レンズを外せない場合などは、眼科を受診してください。ずれたレンズを無理に動かしたり清潔ではない手で目に触れたりすると、目の炎症につながるため控えましょう。
コンタクトレンズのずれを防ぐためには、ずれやすくなる原因を取り除かなくてはなりません。そのためには、以下の4点が重要です。
l 目の乾燥を防ぐこと
l コンタクトレンズを正しく装用すること
l 眼科を定期受診して目の健康を維持すること
l 目に合うレンズを選ぶこと
目の乾燥を防ぐためには、目を乾燥させる原因を取り除く必要があります。例えば、以下のようなことを心がけ、目を乾燥させないようにしましょう。
l エアコン使用時は加湿器を併用して空気の乾燥を防ぐ
l コンタクトレンズを長時間装用しない
l レンズを付けたまま寝ない
パソコンやスマートフォンを使う頻度が高い場合は、目の乾燥を防ぐために意識的にまばたきの回数を増やすのもおすすめです。目の潤いを保つために、装着液を使ってコンタクトレンズを装用したり目薬をさしたりするのもよいでしょう。
また、コンタクトレンズのずれを防ぐためには、裏表をしっかり確認して左右を間違えないように装用することも大切です。最近は、裏表を確認する必要がないワンデータイプのコンタクトレンズも販売されているため、そのような製品を使ってみるのも良いかもしれません。
そして、特に重要なのが、次の2点です。
l 眼科を定期受診すること
l 目に合うコンタクトレンズを選ぶこと
眼科を定期受診すれば、結膜の炎症や目の乾燥などの異常に気付きやすくなるため、症状が悪化する前に治療を受けられます。異常がない場合でも、目の健康を維持するために眼科を定期受診することが大切です。
また、眼科を受診すれば、BCなどをきちんと測定したうえで目に合うコンタクトレンズを処方してもらえます。
コンタクトレンズによる眼病を防ぐためにも、3ヵ月に1回は眼科を受診しましょう。
コンタクトレンズがずれるおもな原因は、目の乾燥やコンタクトレンズの誤装用(裏表逆)、目の炎症、ベースカーブの4つです。
ほとんどの原因は解決できますが、予防策を講じていても、目をこすったタイミングでコンタクトレンズがずれてしまうこともあるでしょう。そのような場合には、今回紹介した方法でレンズの位置を確認して、目に負担をかけないように注意しながらレンズを正しい位置へ戻してください。
ただし、コンタクトレンズが何度もずれる場合は、目の病気も疑われます。「最近、コンタクトレンズがよくずれる……」など気になる症状がある場合は、早めに眼科を受診して目の健康状態をチェックしてもらいましょう。