コンタクトレンズの含水率、という言葉を耳にしたことはありますか? 何となく意味は分かるけれども、種類によって違いがあるのか、高いのと低いのではどちらを選べば良いのかなど、分からないことも多いでしょう。
今回は、含水率の定義と、素材によっての違いなどを分かりやすくご紹介します。
そもそもなぜ目が乾くのでしょうか?それは、レンズが水分を吸い取ってしまうことと、湿度が関係しているようです。コンタクトレンズを装用しているときに乾燥が進むと、貼り付きや痛み、異物感などの症状が引き起こされます。
涙腺から送られてくる涙はまばたきによって目の表面に薄い膜をつくります。そのときに10%ほどは蒸発し、あまった涙は涙点から鼻腔へ流れ出ていくそうです。コンタクトレンズは、その薄い涙の層に浮いた状態です。
したがって、コンタクトレンズに涙が吸収されてしまうと涙が足りなくなってしまいます。
そして、春・夏はあまり感じなくても秋・冬になると目が乾燥してくる、という方も多いでしょう。コンタクトレンズの水分と薄い涙の層は、湿度が低いと蒸発して乾燥してしまいます。
ほかにも、スマートフォンやパソコンの使い過ぎによるまばたきの減少、エアコンの使用による空気の乾燥など、さまざまな要因があって目が乾いてしまう、ということを覚えておきましょう。
ソフトとハードで、含水率はどちらが多い?
コンタクトレンズには、レンズにどれだけの水分が含まれているかを表す値「含水率」があります。 含水率は、コンタクトレンズのつけ心地や乾きにくさに影響します。
含水率が50%を超えるものは高含水コンタクトレンズといい、多くの水分を含有できるのでつけ心地は良いのですが、渇きに弱いというデメリットがあります。
一方、含水率が50%を下回るものは低含水コンタクトレンズといい、つけ心地は高含水のコンタクトレンズと比べると硬いです。反面、乾きと汚れに強いのが低含水コンタクトレンズの特徴です。
コンタクトレンズの含水率は、ソフトレンズに存在する概念であり、水分をほとんど含まない酸素を通す素材でできているハードレンズには一切関係ありません。
ソフトコンタクトレンズと一口に言っても、素材が異なると含水率も変わってきます。 素材は大きく2つに分けられます。
1つは通常のソフトコンタクトレンズで使われている「ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)」という素材、もう1つは「シリコーンハイドロゲル」とよばれるものです。
1つ目のヒドロキシエチルメタクリレートで作られたソフトコンタクトレンズは、水が酸素を通すのに適しているという点に着目して含水率を高めに開発されていますが、水分が蒸発しやすくすぐに乾燥するというデメリットがあります。
一方、シリコーンハイドロゲルで作られたソフトコンタクトレンズは、水よりさらに酸素を通せますので、含水率を低くすることで、より目に酸素が行き渡るのが特徴です。
今回は、コンタクトレンズにおける含水率についてご紹介しました。
ソフトコンタクトレンズを選ぶ際は、含水率と付け心地の関係や素材によって異なる含水率を理解し、自分の目に合ったものを購入するようにしましょう。
乾燥対策としてまばたきを意識的に行う、加湿器を使って湿度を上げる、などさまざまな方法がありますが、使われている素材を確認してみるのも有効な手段です。
先述した通常の素材ではなく、シリコーンハイドロゲル素材で作られたレンズをおすすめします。
メニコンの2ウィーク プレミオは、含水率40%で酸素透過性が高いシリコーンハイドロゲル素材が使われているレンズです。含水率が低いうえ、汚れがつきにくい素材でつくられているため、長時間でも快適に装用できます。
アルコンのデイリーズ トータル ワンは、含水率がレンズ表面と内部で異なります。表面が含水率80%、内部は33%です。目に直接触れる部分の含水率が高いため、つけた瞬間の違和感を覚えにくいつくりになっています。シリコーンハイドロゲル素材でつくられているので、酸素透過性もとても高いです。
今回はコンタクトレンズの含水率と乾燥する仕組みについて紹介しました。みなさんが水を飲んで呼吸をするように、目も水分と酸素が重要です。ぜひ自分にあったレンズを見つけて、快適に過ごしてくださいね。
更新日:2016/10/31
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