高校入学に合わせてコンタクトレンズデビューする人、ゴールデンウイークや長期休暇などのタイミングでコンタクトレンズを使い始める人など、高校生でコンタクトレンズの使用を始める人は少なくありません。
しかし、初めてのコンタクトレンズ使用に不安はつきものです。また、学校生活を過ごすうえでの注意点も知っておかなければなりません。
そこで今回は、高校生でコンタクトレンズを使い始めるメリットや使いやすいレンズタイプ、目の健康を守るための注意点などを解説します。保護者の方の役割にもふれますので、お子さんのコンタクトレンズデビューが心配な方もぜひご一読ください。
今までずっとメガネを使っていた人が、いきなりコンタクトレンズデビューするのは意外に勇気がいるものです。しかし、高校進学は環境が大きく変わる時期です。中学校でメガネを使っていた人も、高校入学のタイミングでコンタクトレンズデビューすれば、さりげなくイメージチェンジを図れます。
また、コンタクトレンズは目に直接装用するため、ズレたり外れたりするリスクが低く、呼気や汗などで曇ったりすることもありません。そのため、メガネを使っているときよりアクティブに過ごせるでしょう。気温の変化で曇ることもないため、電車通学を始める人にもおすすめです。
さらに、高校生になると中学生より自主性に任される部分が増えてきます。校則などである程度の制限はあるものの、コンタクトレンズを使えばメイクやおしゃれの幅が広がり、カラコン(カラーコンタクトレンズ)で瞳の変化を楽しむこともできるでしょう。
それでは、高校生が使いやすいのはどのタイプのコンタクトレンズなのでしょうか。ここでは、比較されることが多いレンズタイプをいくつかピックアップして、それぞれの特徴と違いを解説します。
ハードコンタクトレンズは、レンズ直径が小さく、酸素透過性の高い素材で作られていることが多いため、目の酸素不足予防に適しています。また、レンズに涙が吸収されないため目が乾きにくく、矯正力が優れているのも特徴です。
ただ、硬い素材でできているため、装用感はあまり良くありません。さらに、レンズの大きさが小さく、ズレたり外れたりするリスクもあることから、激しいスポーツをする人には不向きです。
一方ソフトコンタクトレンズは、軟らかい素材で作られているため装用感が良く、ズレたり外れたりすることが少ないため、アクティブな高校生でもストレスなく使えます。
しかし、ハードコンタクトレンズに比べると、ソフトコンタクトレンズは目の酸素不足をまねきやすく、特に含水率の高いレンズは目が乾燥しやすくなるというデメリットがあります。また、強い近視や乱視の矯正には向きません。
これらのことから、目にかかる負担を減らしたい人や近視・乱視が強い人にはハードコンタクトレンズが向いています。一方、ソフトコンタクトレンズは、装用感を重視する人や部活動などで体をよく動かす人向きといえるでしょう。
なお、ソフトコンタクトレンズによる瞳の酸素不足や涙不足が気になる場合は、シリコーンハイドロゲル素材のレンズがおすすめです。シリコーンハイドロゲル素材のレンズは酸素透過性が高く、低含水で目が乾燥しにくいため、目のトラブル予防に役立ちます。
使い捨てタイプ(ワンデータイプ)は、1度使ったら再装用できないコンタクトレンズです。定期交換タイプ(2ウイークタイプやマンスリータイプなど)は、使用期間内なら何度でも装用できるコンタクトレンズです。使い捨てタイプはソフトコンタクトレンズしかありませんが、定期交換タイプはソフトコンタクトレンズのほかハードコンタクトレンズもあります。
使い捨てタイプおよび定期交換タイプは装用できる期間が短いため、汚れが蓄積しにくいのが特徴です。買い増しのタイミングで度数などが変更できるため、視力変化にも対応できます。
ただし、使い捨てタイプも定期交換タイプも継続的な出費を覚悟しなければなりません。
長期使用タイプ(コンベンショナルレンズ)は、年単位で使用できるコンタクトレンズで、ハードコンタクトレンズもソフトコンタクトレンズもあります。
コストパフォーマンスは決して悪くありませんが、予備のレンズがないため、破損・紛失時に大変不便です。また、度数変更したい場合には新しいレンズを購入しなければならないため、出費額が大きくなります。
したがって、使い捨てタイプや定期交換タイプのコンタクトレンズは、衛生面を重視する人や度数変更の可能性がある人、予備のレンズを手もとに置いておきたい人向きです。長期使用タイプのコンタクトレンズは、同じレンズを長く使いたい人に向いています。
使い捨てタイプ(ワンデータイプ)は、毎日新しいレンズに交換するタイプのコンタクトレンズです。使い捨てのハードコンタクトレンズはないため、どれを選んでもソフトコンタクトレンズになります。
使い捨てタイプは1回使ったらすぐに捨ててしまうため、デイリーケアは必要ありません。毎回清潔なコンタクトレンズを使用できるため、大変衛生的です。
ただし、再装用できないため、1度外したら同日中でも新しいコンタクトレンズに交換しなければなりません。また、1枚当たりの値段はほかのタイプに比べて少し高めです。
定期交換タイプは、ソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズがあります。ソフトコンタクトレンズは2週間あるいは1ヵ月で新しいレンズに交換しますが、ハードコンタクトレンズは3ヵ月に1回の交換です。
定期交換タイプは使い捨てタイプに比べてコストパフォーマンスが良く、使用期間内なら再装用できます。
しかし、繰り返し使用するためデイリーケアが欠かせません。ケア用品やレンズケースも必要です。
これらのことを考慮すると、使い捨てタイプのコンタクトレンズは、手間を省いて清潔を維持したい人、塾や部活動などで忙しい人向けといえます。定期交換タイプは、コストパフォーマンスを重視する人や、1日のうちで付け外しをする人向けといえるでしょう。
目の健康を守りながらコンタクトレンズを使うためには、いくつかの点に注意しなければなりません。高校生ならではの注意点もあるため、コンタクトレンズデビュー前にしっかり確認しておきましょう。
コンタクトレンズは、量販店やインターネット通販などで気軽に買えるイメージがあるかもしれませんが、購入する際は必ず眼科を受診して、処方箋を発行してもらいましょう。
目に合うコンタクトレンズを購入するためには、眼科で正確なBC(ベースカーブ:レンズの曲がり具合を示す数値)や視力などを測定してもらわなければなりません。目に合わないコンタクトレンズを使うと、目のトラブルや体の不調をまねくこともあるため、自己判断での購入は避けてください。
なお、コンタクトレンズを買う場合、眼科の診察にかかる時間は1時間程度です。コンタクトレンズ販売店が併設でない場合、処方箋を受け取ったあと販売店まで行かなければならないため、時間に余裕をもって受診しましょう。
健康な目の状態を維持してコンタクトレンズを使い続けるためには、眼科の定期受診も必要です。気になる症状がない場合でも、3ヵ月に1回は眼科を受診して目の健康状態をチェックしてもらいましょう。
例えば、4月にコンタクトレンズデビューした場合は、夏休みに入る7月、定期テスト終了後の10月、冬休み中の1月に受診するといったスケジュールで大丈夫です。学校のイベントや大学入試と重なってしまう場合は、受診間隔を短くしたりスケジュールを前倒しにしたりするなどして眼科受診を欠かさないようにしましょう。
水泳の授業でプールに入るときは、コンタクトレンズを使ってはいけません。
コンタクトレンズを装用したままプールなどに入ると、水に含まれる塩素がレンズにとどまり、角膜(黒目の部分)に炎症が起きたり傷が付いたりするおそれがあります。水中の雑菌でレンズが汚染され、感染症にかかる可能性も否定できません。
また、ソフトコンタクトレンズは涙の浸透圧に合わせて作られているため、浸透圧の違うプールの水などにふれると、レンズが変形・膨張するおそれがあります。変形・膨張したコンタクトレンズを使うと目のトラブルをまねくおそれがあるため、定期交換タイプや長期使用タイプのレンズでも廃棄しなければなりません。
さらに、コンタクトレンズをはめたままプールに入ると、レンズと目のあいだに水が侵入してレンズが外れやすくなるため、紛失のリスクも高くなります。
したがって、水泳の授業がある日はコンタクトレンズを装用せず、朝からメガネで過ごしてください。視力が悪く、コンタクトレンズなしでプールに入るのが不安な場合は、度付きゴーグルを使いましょう。
目の健康を維持するためには、装用時間を守ることも大切です。
コンタクトレンズを装用できる時間の目安は、ハードコンタクトレンズで14時間程度、ソフトコンタクトレンズで12~14時間程度です。医師の指示がある場合は、これより短くなることもあります。なお、カラコンは製品ごとに連続装用できる時間が異なるため、添付文書などで確認してください。
塾や部活動、合宿などでコンタクトレンズの装用時間が長くなりそうなときは、メガネに切り替えて決められた装用時間を超えないようにしましょう。目の調子が悪いときは装用時間内でも早めに外し、目を休めてください。
目にかゆみや痛み、充血などの異常がある場合は、コンタクトレンズをすぐに外してください。
このようなアクシデントに備え、学校や塾へ行くとき、外出するときなどは必ずメガネを携帯しましょう。定期交換タイプや長期使用タイプのコンタクトレンズを使っている場合は、ケア用品やレンズケースも用意しておくと安心です。
目に異常があってコンタクトレンズを外した場合は、帰宅後すぐに眼科を受診してください。目のトラブルを放置すると、視力低下や失明などをまねくこともあるため、大変危険です。
高校生のコンタクトレンズ購入などには、保護者の方の協力が必要な場合もあります。お子さまの目を守るためにも、以下の点には特にご注意ください。
高校生がコンタクトレンズを初めて使う場合、保護者の同意や同席を求める眼科も少なくありません。
2回目以降の受診でも、視力の変化がある場合はコンタクトレンズの変更が必要になることもあります。レンズが変更になると、取り扱い上の注意が変わることもあるでしょう。また、製品の特性を知っておくことは、コンタクトレンズを使う本人はもちろん、保護者の方にとっても大切なことです。
このようなことからも、高校生の方がコンタクトレンズの処方のために眼科を受診する際は、できるだけ保護者の方が同伴してください。
高校生にもなれば、たいていのことは一人でできるかもしれません。しかし、コンタクトレンズの使用に不慣れなあいだは、無理な装用をしていないか、きちんと期間を守って交換しているか、適切なケアをしているか、などをさりげなく確認してください。
また、コンタクトレンズの使用に慣れたあとも、装用時間が長くないか、装用したまま寝ていないか、こすり洗いをしているか、保存液を毎回交換しているか、などをチェックしてください。
目のかゆみや充血、目やになどの有無、見え方に変化がないかといった点も、併せて確認できるとよいでしょう。
コンタクトレンズによる眼障害を防ぐために、3ヵ月に1回は眼科を受診するように促してください。ただし、無理強いは禁物です。本人の都合にも配慮して、できるだけ一緒に眼科を受診しましょう。
眼科を定期的に受診すれば、度数変化にも気付きやすくなりますし、適切なレンズケアができているかどうかも確認できます。受診するたびに処方箋の発行をお願いすれば、そのときの目の状態に応じたコンタクトレンズを毎回医師に選んでもらえるため、より一層安心です。
コンタクトレンズは、イメージチェンジしたい高校生や、よりアクティブになりたい高校生におすすめのアイテムです。コンタクトレンズにはいろいろな種類・タイプがあるので、この記事を参考に自分に合う製品を選んでください。
コンタクトレンズデビューを果たしたあとも、眼科の定期受診は欠かさずに行うようにしましょう。3ヵ月に1回は眼科を受診して、目の健康を維持しながら高校生活を楽しんでください。