カラコンは、気軽に目もとの印象を変えられる人気のアイテムです。しかし、目に直接装用するため、初めての購入に不安や戸惑いを感じる方もいるかもしれません。
そのようなカラコン初心者の方に向けて、購入前に知っておくべき基礎知識や購入までの流れ、安全に使うための注意点などを解説します。
カラコンを失敗せずに購入するポイントも紹介するので、カラコンが初めての方はもちろん、カラコン選びに自信がない方もぜひ読んでみてください。
まずは、カラコン購入の際に必要なレンズデータに関する用語を解説します。
「BC」とは「ベースカーブ」のことで、レンズの曲がり具合を表す数値です。BCが大きくなるとレンズのカーブが緩やかになり、小さくなるとカーブがきつくなります。
BCが合っていないと、目が圧迫されて充血や痛みが生じたり、カラコンがずれて目に傷が付いたりする場合もあるため、BCの合うカラコンを選ぶことはとても大切です。
なお、日本人の平均的なBCは8.6~8.7程度といわれています。また、日本で販売されているカラコンの多くはBCが8.6前後です。
「DIA」は「Diameter(英語で「直径」という意味)」の略です。レンズそのものの直径(レンズ直径)を表す数値ですが、レンズを平たくした状態ではなく、カーブした状態で測定した直径を表します。DIAが大きくなればなるほどレンズ直径が大きくなるので、カラコンで覆われる眼球の範囲も広くなります。
日本では、DIAが13.8~15 mm程度のカラコンが販売されていますが、平均的なサイズは14.2~14.5mm程度です。
着色直径は、カラコンの着色部分の一番外側の直径を表す数値です。製品によっては「着色部外径」と記されていることもあります。着色直径が大きくなるとカラコン装用時の瞳のサイズが大きく見えるため、目もとの印象を左右する重要な数値といえるでしょう。
なお、日本人の平均的な黒目のサイズは12.5 mm程度です。それに合わせて、日本では着色直径が13.0~13.5 mm程度のカラコンが多く販売されています。
また、着色直径(着色部外径)によく似た「着色部内径」という用語もあります。着色部内径は、カラコンの着色部分の一番内側の直径を表す数値です。着色部内径が小さいと広い範囲が着色部分で覆われるため、瞳の印象を大きく変えられます。
カラコン購入に必要な用語を理解したら、次はカラコン選びです。
失敗を防ぐために、以下のポイントを押さえておきましょう。
カラコンには、ワンデータイプ、2ウィークタイプ、マンスリータイプなど交換期間が異なるさまざまなタイプがあります。しかし、カラコンはもちろん、ソフトコンタクトレンズも使ったことがないという場合は、ワンデータイプのカラコンがおすすめです。
ワンデータイプのカラコンなら、必要なときだけ使えるので無駄がありません。また、くり返し使用が可能なタイプとは違い、デイリーケアが不要で毎回清潔なレンズが使えるため、衛生面でも優れています。
カラーバリエーションをいろいろ試したい方や、その日のメイクに合わせてカラコンを使い分けたい方にも、ワンデータイプのカラコンはおすすめです。
カラコンが初めての場合は、DIAの小さな製品を選ぶようにしましょう。
DIAが大きくなると、眼球の広い範囲がカラコンで覆われることになるため、瞳に酸素が届きにくくなります。酸素の供給が不十分だと目にかかる負担が大きくなり、角膜(黒目の部分)に傷が付いたり眼病になったりするリスクが高まるため大変危険です。
DIAが小さめでも瞳の印象をアップできる製品は多数あるので、平均的なサイズ(14.2~14.5mm程度)か、少し小さめのカラコンを選ぶとよいでしょう。
カラコン選びで失敗しないためには、着色直径にも注目しましょう。
美しいとされる瞳の黄金比は、「白目:黒目:白目」=「1:2:1」です。これに当てはめると、理想の黒目のサイズは目の横幅のちょうど半分になります。
例えば、目の横幅が27㎜なら理想の黒目のサイズは13.5㎜となるため、着色直径が13.5㎜のものを選ぶのがベストです。
あらかじめ目の横幅を測っておけば着色直径を選ぶときに迷わなくて済むため、眼科や販売店へ行く前に確認しておくとよいでしょう。
初めてカラコンを購入する際には、眼科を受診してBCなどを測定してもらい、目の健康状態に応じた製品を処方してもらう必要があります。
ここでは、眼科を受診してカラコンを購入するまでの大まかな流れを見ていきましょう。
カラコンの処方に対応している眼科を選び、受診しましょう。処方に対応しているかどうかは、眼科の公式サイトや電話などで確認できます。受付から処方箋の交付までに1時間程度はかかるため、時間に余裕をもって受診してください。
なお、コンタクトレンズの処方には保険が適用されます。受診時には必ず保険証を持参して、受付に提出しましょう。
・問診票の記入
受付を済ませると、問診票の記入を求められます。アレルギー歴や服用している薬の内容なども問われるため、おくすり手帳などがあると便利かもしれません。
受診理由の欄には、「カラコン購入のため」と記入しましょう。
・機器を使った検査
専用の測定機器を使って、視力や乱視の有無、眼圧や目のカーブなどを測定します。
メガネがある場合は、メガネの度数も確認します。
・眼科医による診察
機器で測定した結果をもとに、眼科医が目を診察します。
目の表面の状態や眼底なども詳しく調べ、カラコン装用の可否を判断します。
疑問や不安がある場合は、ここで解決しておきましょう。
・装用方法の指導
目の健康状態に問題がなくカラコンが装用できると判断されたら、スタッフと一緒に装用の練習をします。
正しいケア方法や装用時の注意点なども教えてもらえるため、しっかり指導を受けましょう。
・会計
カラコンをきちんとつけ外しできるようになったら、最後に会計で診察費を支払います。
初診で3割負担の場合、診察費は1,000~1,500円程度です。カラコン代金とは別に必要なので、忘れずに用意しましょう。
眼科内でカラコンを購入しない場合は、会計時に処方箋を渡されます。処方箋には有効期間があるため、受け取ったら期間を確認して早めにカラコンを購入しましょう。
処方箋に記されているのは、BCやDIA、度数などカラコンの購入に欠かせないレンズデータです。処方箋をなくしてしまうと目に合うカラコンを購入できなくなる可能性があるため、大切に保管してください。
なお、処方箋をなくした場合、眼科にお願いすれば再発行してもらえることもあります。ただし、処方箋の再発行は保険が適用されず、全額自己負担となる点には注意しましょう。
処方箋を受け取ったら、いよいよカラコンの購入です。
カラコンは雑貨店や通販サイトなどでも販売されていますが、カラコンをはじめとしたコンタクトレンズは高度管理医療機器なので、販売にあたっては特別な許可が必要です。
したがって、カラコンは必ず「高度管理医療機器等販売業」を許可されている店舗で購入しましょう。
また、カラコンの「高度管理医療機器承認番号」を確認することも大切です。高度管理医療機器承認番号が確認できないカラコンは、日本の安全基準を満たさない海外製品や粗悪品の可能性があります。
関連記事:
カラコン購入時に眼科受診は必要?受診しない場合のリスクや受診の流れを解説
カラコンと一緒に目やレンズをケアするアイテムを用意しておくと、より一層快適に使えます。
まずおすすめなのが、カラコン用の目薬です。目の乾きや疲れを感じたときにカラコンを装用したまま点眼できるため、大変便利です。
なお、カラコンに対応していない目薬を使用すると、防腐剤の影響で目に負担がかかったり、レンズが変形・変色したりする場合があります。そのため、必ずカラコン用の目薬を選んでください。
カラコン装用時の不快感が気になる場合は、装着液を使用するのもおすすめです。レンズに1~2滴垂らすだけでごろごろ感や乾燥が和らぎ、装用感が格段に良くなります。
ワンデータイプ以外のカラコンを使用する場合は、洗浄液や保存液、レンズケースも必要です。
洗浄液にはさまざまな種類がありますが、過酸化水素系の洗浄液はカラコンに使用すると色が変わってしまうおそれがあるため、それ以外のタイプを用意するとよいでしょう。
なお、レンズケースは少なくとも3ヵ月に1回は交換が必要です。液漏れする場合やひどい汚れが付いたときはすぐに交換しなければならないため、少し余分に用意しておくといいかもしれません。
最後に、カラコンの安全な使用のために注意すべき点を解説します。
カラコンは、装用時間、使用期間、使用期限を守って使いましょう。
一般的に、カラコンは8~10時間程度装用できるといわれますが、いきなり長時間装用するのは避けてください。初めてカラコンを使用する場合は1日2時間程度から始め、1週間ほどかけて毎日少しずつ装用時間を延ばしていきましょう。
使用期間、使用期限を守ることも大切です。期間・期限を超えたカラコンは安全性や耐久性が保証されないため、目に重大なトラブルをまねくおそれがあります。
また、洗顔時や入浴時、プールに入るときなど、目に水が入る可能性がある場面ではカラコンを外してください。カラコンは水や海水などに触れると、変形したり微生物が付着したりして目の健康を害するおそれがあります。
そして、寝るときは必ずカラコンを外してください。短時間の睡眠でもカラコンを外さないのはNGです。カラコンを装用したまま寝ると、酸素不足で目が充血する、角膜炎などの病気をまねく、といったリスクがあります。
なお、カラコンの貸し借りも絶対にしてはいけません。目に合うカラコンは人によって違います。目に合わないカラコンを使用すると、目のトラブルが生じてカラコンを装用できなくなるかもしれません。
ワンデータイプ以外のカラコンは、デイリーケアが必要です。
2ウィークタイプやマンスリータイプのカラコンは、外したらこすり洗いをしてしっかり汚れを落としましょう。
ただし、力を込めて強くこするとレンズの破損につながります。洗い方が乱暴だと、色素が露出して色落ちする場合もあるため、優しく丁寧に洗うことを心がけてください。
目の健康を維持しながら安全にカラコンを使うためには、眼科の定期受診も欠かせません。
目の痛みやかゆみなどの気になる症状がなくても、3ヵ月に1回は眼科を受診して目の健康状態をチェックしてもらいましょう。
眼科を定期的に受診すれば、自覚症状の乏しい目の病気にも気付けるはずです。万が一、目に異常があれば早めに治療を受けられるため、重篤な眼疾患の予防にもつながるでしょう。
初めてカラコンを購入するときは、眼科を受診してBCなどを測定してもらい、信頼できる販売店で安全性の高い製品を購入しましょう。カラコンをより快適に使用するために、目薬や装着液を用意するのもおすすめです。
カラコンの購入・使用に不安や疑問がある場合は、遠慮せずに眼科医や専門店のスタッフに相談してください。正しい使い方やケア方法をしっかりと理解し、定期的な眼科受診で目の健康を守りながら、カラコンでおしゃれを楽しみましょう。
公開日:2023/11/30