コンタクトレンズには、カラコン(カラーコンタクトレンズ)に限らず、使用期限があります。ただ、使用期限のほかに有効期限などもあるため、違いがわからず困っている方もいることでしょう。
そこでこの記事では、カラコンのタイプ別の使用期限や有効期限との違い、期限切れのレンズを使った場合のリスクなどを解説します。期限切れを防ぐカラコン選びのコツも紹介しますので、期限切れのカラコンを廃棄した経験のある方は参考にしてください。
はじめに、誤解が多いカラコンの「使用期限」について解説します。
カラコンの使用期限とは、パッケージを開封後、カラコンを安全に使える期間(日数)のことです。わかりにくい場合は、「交換頻度」と考えればいいかもしれません。
例えば、ワンデータイプのカラコンは使用期限が1日なので、毎日交換が必要です。
2ウイークタイプのカラコンは使用期限が2週間なので2週間ごとに交換、マンスリータイプのカラコンは使用期限が1ヵ月なので毎月交換することになります。
なお、カラコンの使用期限はパッケージなどで確認できます。
ワンデータイプのカラコンの使用期限は1日ですが、24時間連続して装用できるわけではありません。医師に指示された装用時間を超えて使うことはできないため、実際の使用期限は数時間になります。
また、ワンデータイプのカラコンは一度外すと再装用できません。
「ワンデー」という名称から「1日に何度も着脱できる」と誤解されがちですが、一度外したカラコンは、たとえ開封から24時間経っていなくても再装用不可です。もちろん、洗浄・消毒しても再装用はできません。
装用した時間が短い場合でも、一度外したワンデータイプのカラコンは廃棄し、必ず新しいものに交換しましょう。
2ウイークタイプやマンスリータイプのカラコンの使用期限は、カラコンのパッケージを開封してから安全に使用できる日数を示しています。
つまり、2ウイークタイプのカラコンの使用期限は開封日から2週間、マンスリータイプのカラコンの使用期限は開封日から1ヵ月です。
ここで気を付けて欲しいのが、「使用期限は装用した日数ではない」という点です。
使用期限の日数は、カラコンを装用した日だけではなく装用しなかった日も含めてカウントします。したがって、使用した日数が少なくても期間が過ぎたら必ず廃棄しなければなりません。
ただし、カラコンの汚れがひどい場合や曇りがある場合、傷がついている場合などは、使用期限が切れていなくても新しいものと交換してください。汚れや傷のあるカラコンを使い続けると、雑菌が繁殖したり目に傷がついたりするおそれがあります。
次に、混同しがちなカラコンの「使用期限」と「有効期限」の違いを解説します。
繰り返しになりますが、カラコンの「使用期限」は、パッケージ開封後にカラコンを安全に使用できる期間のことをいいます。
これに対して「有効期限」は、未開封の状態でカラコンを保管した場合にいつまで使えるかを示したものです。つまり、カラコンの有効期限は、「カラコンの品質が保証される期限」といえます。
ただし、カラコンの品質が維持されるのは適切な環境で保管された場合のみです。日差しの強い場所や温度変化の激しい場所で保管されたカラコンは、有効期限内であっても使えなくなっているおそれがあります。逆に、適切な環境で保管されていたカラコンでも、有効期限が切れていたら使用できません。
有効期限が切れたカラコンはいうまでもなく、保管状況がはっきりしないカラコンは、誤使用を防ぐために廃棄するのが無難です。
カラコンの有効期限は、パッケージやブリスターケースのアルミ蓋部分に記載されています。有効期限(Expiration Date)の略である「EXP」の横に年月日で記されていることが多く、例えば「EXP:2028‐1‐31」となっているカラコンの有効期限は2028年1月31日までです。
有効期限が過ぎたものは保管状況が良くても使用できないため、ストックしてあるカラコンを使う場合は必ず有効期限を確認してください。
使用回数が少ないのに期限が切れてしまったカラコン、未開封なのに期限が切れてしまったカラコンを捨てるのは「もったいない」と感じる方も少なくないでしょう。
しかし、使用期限・有効期限の切れたカラコンを装用すると、目に重大なトラブルをまねくおそれがあります。
カラコンを安全に使えるのは、使用期限内・有効期限内のみです。
期限が切れたカラコンは、劣化が進んで傷がついたり破れやすくなっていたりするおそれがあります。また、汚れや雑菌が付着している可能性も否定できません。酸素透過性も、期限切れのカラコンでは大きく低下しているおそれがあります。
このように、期限が切れたカラコンは安全性や性能、耐久性に問題が生じていることがあるため、たとえ未開封でも使ってはいけません。
それでは、使用期限や有効期限の切れたカラコンを使うとどうなるのでしょうか。
まず考えられるのが、カラコンの汚れや傷による眼障害です。
期限の切れたカラコンは、未開封でもパッケージ内の保存液が微生物などで汚染されていることがあります。このような保存液に浸されたカラコンを装用すると目に雑菌が付着し、感染症を起こすことになるかもしれません。
また、劣化して破損しているカラコンを装用すると、目に傷がつくおそれがあります。傷に雑菌が入り込むと角膜潰瘍などの重篤な眼障害をまねくこともあるため、大変危険です。
そのほか、カラコンの汚れが原因でアレルギー症状が起きることもあります。
さらに、使用期限・有効期限が切れて酸素透過性が低下したカラコンを装用すると、目の酸素不足をまねくことにもなりかねません。
目が酸素不足になると、角膜にダメージが生じやすくなり充血も起きやすくなります。目の負担が増えることから眼精疲労が悪化し、肩こりや頭痛などの症状があらわれるおそれもあるでしょう。
このような状態になるとカラコンを使うこと自体が難しくなるため、使用期限・有効期限は絶対に守ってください。
ここからは、期限切れを防ぐ上手なカラコンの選び方を紹介します。
カラコンを使う頻度が低い場合は、ワンデータイプのカラコンがおすすめです。
ワンデータイプのカラコンなら毎回新しいものを使うことになるため、パッケージに記載された期限を把握しておけば期限切れを防げます。
また、ワンデータイプのカラコンは、デイリーケアが十分にできない方にもおすすめです。
ワンデータイプのカラコンであれば、一度外したら捨てるだけなので期限を気にしなくて済みますが、2ウイークタイプやマンスリータイプのカラコンは、期限を気にしながら毎回しっかりとケアしなければなりません。
ケアの方法が適切でないと期限内でも使えなくなってしまうことがあるため、デイリーケアが面倒な方や苦手な方、忙しい方などは、ワンデータイプのカラコンがおすすめです。
毎日のようにカラコンを使う方やデイリーケアに抵抗がない方には、2ウイークタイプやマンスリータイプのカラコンがおすすめです。
2ウイークタイプやマンスリータイプのカラコンはデイリーケアが欠かせませんが、1枚当たりの値段が比較的安いためコストを抑えられます。定期的に眼科を受診してその都度カラコンを処方してもらえば、期限が切れることも少なくなるでしょう。
また、2ウイークタイプやマンスリータイプのカラコンは、日中にレンズを付け外しする方にもおすすめです。特に水泳の授業がある学生の方、仕事帰りにサウナなどを利用する方などは、再装用できる2ウイークタイプやマンスリータイプのカラコンのほうが便利でしょう。
カラコンの使用期限とは、パッケージを開封したあとカラコンを安全に使用できる期間のことです。対してカラコンの有効期限とは、未開封のカラコンの品質が保証される期間のことを指します。
使用期限・有効期限の切れたカラコンは、安全性や性能、耐久性が低下しているおそれがあります。誤って使用すると重篤な眼障害をまねくことがあるため、期限が切れたカラコンは絶対に使わないでください。
カラコンの有効期限はそれほど短いものではありませんが、セールなどで大量に購入すると使い終わるまでに期限が切れてしまうこともあります。この機会にストックしているカラコンの有効期限を確認し、期限がわからないものは思い切って処分しましょう。
更新日:2024/9/1