旅行や出張、実家に戻るときなど、飛行機に乗る機会がある方は少なくないでしょう。そのようなときに困るのが、コンタクトレンズやケア用品の機内持ち込みです。特にフライト時間が長くなる海外渡航では、途中で仮眠をとらなければならないケースもあるため、コンタクトレンズの装用自体を悩む方もいるでしょう。
しかし、コンタクトレンズの装用時間を守らないこと、装用したまま眠ることは避けるべきです。では、コンタクトレンズユーザーは機内でどのように過ごせばよいのでしょうか。
今回は、飛行機内でのコンタクトレンズ装用の可否や洗浄液・保存液を機内に持ち込む方法、コンタクトレンズユーザーならではのフライト時の留意点などを紹介します。
そもそも、飛行機内ではコンタクトレンズを外すべきなのでしょうか。まずは、飛行機内の環境が目におよぼす影響を見ていきましょう。
フライト中の飛行機内は、湿度が20~25%程度しかなく、大変乾燥しています。また、酸素濃度も地上に比べて少し低めです。
このような環境は、コンタクトレンズにとって好ましいものとはいえません。もちろん、目にも負担がかかりやすくなります。
実際、普段はあまり目の乾きを感じないコンタクトレンズユーザーでも、飛行機内では目が乾燥することが少なくありません。かゆみや充血などの症状が出ることも珍しくないため、飛行機内ではコンタクトレンズを外して過ごしたほうがよいでしょう。
国内など短時間のフライトなら、コンタクトレンズを装用したまま搭乗しても、大きな問題はないでしょう。
しかし、短時間とはいえ乾燥した飛行機内で過ごすと、目の乾燥を強く感じるおそれがあります。そのため、目薬を機内に持ち込むなど目の乾燥対策は必須です。万が一、目に不調が生じた場合に備えて、すぐにコンタクトレンズを外せるように、メガネや予備のレンズ、ケア用品などを準備しておくとさらに安心です。
もっとも、飛行機の中では、コンタクトレンズの洗浄などが難しい場合もあるでしょう。その点、ワンデータイプのコンタクトレンズはケアの必要がなく、大変便利です。
海外へ行く場合などは、フライト時間が長くなることも珍しくありません。そのため、コンタクトレンズを装用したまま搭乗すると、フライト中に装用時間が過ぎてしまったり、疲れからコンタクトレンズを外さずに眠ってしまったりするリスクが高まります。
しかし、目の健康を守るためにも、このような事態は避けなければなりません。したがって、海外渡航の飛行機内では、コンタクトレンズの装用は避けてメガネを使うほうがよいでしょう。
やむを得ずコンタクトレンズを装用する場合は必ず装用時間を守り、目の乾燥にも注意して、眠るときには必ず外すなど最低限のルールを守ってください。
また、ワンデータイプ以外のコンタクトレンズを使っている場合は、機内で外したあとのケアも忘れずに行ないましょう。
コンタクトレンズや洗浄液・保存液を機内に持ち込む場合は、どのような点に注意すればよいのでしょうか。国内線と国際線のルールの違いも含めて解説します。
基本的に、コンタクトレンズはカラコン(カラーコンタクトレンズ)も含めて機内に持ち込めます。国内線はもちろん、国際線でも同様です。
特に海外へ行く場合は、フライト中に使う予定がなくても、予備のコンタクトレンズを手荷物として機内に持ち込むことをおすすめします。
なぜなら、海外の空港では荷物の到着が遅れたり、預けたスーツケースが行方不明になる「ロストバゲージ」が起こったりする場合があるからです。荷物はあとから見つかることもありますが、荷物が届くまで裸眼で過ごさなければならないため、不便を強いられることになります。
「それなら、コンタクトレンズを現地調達すればいいのでは」と思う方もいるかもしれませんが、コンタクトレンズを海外で購入するのは避けるのが無難です。
海外と日本ではコンタクトレンズの購入基準が異なりますし、自分の目にあったレンズが見つからない可能性もあります。眼科医の診察を受けなければ購入できない国も多く、よほど外国語が堪能でない限り、入手は困難と考えるべきでしょう。
簡単にコンタクトレンズが購入できる国だとしても、日本とは製品の安全基準や法律が異なるため、商品選びには細心の注意が必要です。
ワンデータイプ以外のコンタクトレンズを使っている場合は、洗浄液・保存液の用意も必要です。機内でコンタクトレンズを外す予定がある場合は、忘れずに手荷物に入れましょう。
国内線では、洗浄液・保存液の機内持ち込みに制限はありません。ただし、量が極端に多いと保安検査でチェックが入る場合があるので、大量に持って行くのは避けたほうがよいでしょう。
一方の国際線では、機内に持ち込める液体の量が、以下のとおり制限されています。
液体は容量が100mLあるいは100g以下の容器に入れること
液体の入っている容器すべてを、容量1L以下の再封できる透明プラスチック袋に収納すること
コンタクトレンズの洗浄液・保存液、目薬は医薬品とみなされるため、手荷物検査の際に医薬品であることを伝えれば機内に持ち込むことが可能です。不安な場合は、洗浄液・保存液を100mL以下の容器に移し替え、密封できる透明ビニール袋に入れておくとよいでしょう。
旅先で使う予定の洗浄液・保存液は、スーツケースなどに入れてチェックインカウンターに荷物として預けるのがおすすめです。このようにすれば、機内に大量の洗浄液・保存液を持ち込まずに済みます。
荷物として預ける場合、液体を入れる容器の容量や重さ、個数などに制限はありません。ただし、荷物が乱暴に扱われることもあるので、液漏れや容器の破損に備えてしっかりパッキングしておく必要があります。
万が一、洗浄液や保存液を荷物に入れ忘れてしまった場合は、旅行先で購入することを考えましょう。
ソフトコンタクトレンズの洗浄液・保存液は、薬局やドラッグストア、ショッピングモール内のメガネショップなどで購入できます。日本でもなじみのあるメーカーの洗浄液・保存液を購入できる国も多数あります。
ただし、海外製のケア用品を購入する場合は注意が必要です。日本の洗浄液・保存液とは使い方が異なるものもあり、誤った使い方をすると目を傷つけてしまう可能性も否定できません。やむを得ず購入する場合は、説明書をしっかり読んで正しく使うようにしてください。
なお、コンタクトレンズの洗浄液・保存液は、国や地域によって価格にかなり差があります。特にヨーロッパでは、価格が高いといわれています。また、ハードコンタクトレンズ用の洗浄液は、海外ではほとんど販売されていません。
旅先で「洗浄液・保存液が買えない」という事態に陥らないためにも、洗浄液・保存液は忘れずに荷物に入れておきましょう。
最後に、コンタクトレンズユーザーがフライト中だけでなく飛行機を降りたあとも、快適に過ごすための留意点を紹介します。
空気が乾燥するフライト中はもちろん、飛行機を降りたあとも快適に過ごすためには、目を乾燥させないようにすることが大切です。
特にコンタクトレンズを装用したまま飛行機に乗る場合は、機内に目薬を持ち込むようにしましょう。目薬はコンタクトレンズの洗浄液・保存液と同じように医薬品として扱われるため、国内線・国際線ともに容器の移し替えをしなくても機内に持ち込めます。手荷物検査の際に検査官に聞かれたら、機内で使用する旨を伝えましょう。
なお、目薬は必ずコンタクトレンズ用のものを選んでください。コンタクトレンズに対応していない目薬を使用すると、目薬に含まれる成分でレンズが汚れてにごったり、変形したりするおそれがあります。
フライト中や旅先で不快な思いをしないためには、洗浄液や保存液の液漏れ対策も大切です。
手荷物として洗浄液・保存液を機内に持ち込む場合は、容器の蓋をしっかりと閉め、密閉できるプラスチックの袋に入れましょう。
洗浄液・保存液をスーツケースなどに入れて荷物として預ける場合も、容器の蓋をしっかりと閉めて密閉できるプラスチックの袋に入れてください。タオルなどでくるんでおけば、荷物が多少乱暴に扱われても衝撃を吸収してくれるため、より一層安心です。
飛行機内でのコンタクトレンズ装用は可能ではありますが、長時間のフライトでは外しておくほうが無難です。
やむを得ずコンタクトレンズを装用したまま飛行機に乗るなら、機内に洗浄液・保存液とレンズケース、予備のメガネなどを持ち込みましょう。機内でのレンズケアに不安がある方は、ワンデータイプのコンタクトレンズを使うのがおすすめです。
快適な空の旅を楽しむためには、入念に事前準備を行なうことが欠かせません。目の乾燥を防ぐ目薬は、コンタクトレンズ専用のものを準備してください。予備のレンズや洗浄液・保存液は、機内に持ち込むものと手荷物として預けるものを分けて用意し、どちらも忘れずに持って行くようにしましょう。