目の悪い方にとって、コンタクトレンズは必需品です。最近は高性能で長時間装用可能な商品も多いため、「寝るとき以外、ほとんどコンタクトレンズを装用している」という方もいるかもしれません。
しかし、日常生活ではコンタクトレンズの装用が好ましくない場面がいくつかあります。その一つが入浴時です。では、お風呂に入るときはコンタクトレンズをどうすればいいのでしょうか。
この記事では、コンタクトレンズを装用したまま入浴するリスクや、外さずに入浴した場合の対処法、入浴以外でコンタクトレンズの使用がNGな場面を紹介します。
そもそも、コンタクトレンズを装用したままお風呂に入ることはできるのでしょうか。
結論からいうと、コンタクトレンズを装用したままお風呂に入ることはできます。ただし、髪の毛や顔を洗うときに水分やシャンプー、洗顔料などが目に入るのはNGです。
裸眼であれば、目に石けんなどが入ってもすぐに洗い流せます。
しかし、コンタクトレンズを装用していると、目を十分に洗い流せません。そのままにすると、目に強い刺激を感じたり、視界の曇りやぼんやり感が続いたりすることがあります。ほかにも、水分や洗浄成分の影響でレンズが使えなくなってしまうこともあるのです。
このように、コンタクトレンズを装用したままお風呂に入ると、目やレンズにトラブルが起きてしまいます。そのため、「入浴時はコンタクトレンズを外すのが正解」というべきでしょう。
それでは、入浴時にコンタクトレンズを外さないとどのようなことが起こるのでしょうか。さらに詳しく見ていきましょう。
水分を多く含むソフトコンタクトレンズやカラコンは、涙と同じ浸透圧で作られています。
しかし、浸透圧が異なる水道水やお湯などが目に入りレンズに触れると、水分子が濃度の低いほうから高いほうへと移動するため、レンズが変形するおそれがあります。
また、一般的に浴室内が高温の場合、コンタクトレンズの水分が蒸発して変形する可能性もあるでしょう。
一度変形したコンタクトレンズは、保存液などに浸しても元に戻せません。
変形したレンズを使い続けると、異物感を覚えたり目を傷付けたりするため大変危険です。コンタクトレンズが変形したら、たとえ使用期間内でも廃棄して、新しいものに交換する必要があります。
浴室内は比較的温度が高く、コンタクトレンズと目が乾燥しやすい環境です。乾燥によって、コンタクトレンズが目に貼り付いて外れなくなることがあります。
貼り付いたコンタクトレンズは、無理やり外そうとすると目を傷付けてしまうことがあるため、注意が必要です。
コンタクトレンズ装用中に目に水が入ると、水の中の雑菌によってレンズが汚染されてしまいます。裸眼なら目に雑菌が入っても涙で洗い流されますが、コンタクトレンズ装用中は涙が十分に交換されず、雑菌が付着しやすくなるのです。
お風呂場はさまざまな雑菌が存在する場所であり、目に水が入りやすい場所でもあります。雑菌で汚れたコンタクトレンズを使い続けると、感染症など目のトラブルをまねくリスクが高まるため、入浴時の使用は極力避けるべきでしょう。
装用中のコンタクトレンズは、目の表面にある涙の上に浮いた状態になっています。そのため、洗顔などをして水分が目とレンズの間に入ってしまうと、レンズが浮き上がって外れやすくなります。
また、入浴にともなう目の乾燥が原因で、コンタクトレンズが外れてしまうこともあるでしょう。
お風呂場でコンタクトレンズが外れると、なかなか見つけられません。シャワーを使っていると、流れてしまう可能性もあります。
気を付けていても、ついうっかりコンタクトレンズを外し忘れてお風呂に入ってしまうことはあるものです。万が一に備え、外さずにお風呂に入ってしまった場合の対処法も知っておきましょう。
入浴時に装用していたコンタクトレンズは、雑菌で汚染されている可能性があります。汚染された状態で使い続けると、目のトラブルをまねきます。お風呂から出たらすぐに外し、しっかり洗浄・消毒しましょう。
ソフトコンタクトレンズはレンズ内に水分を含んでいるため、特に念入りにケアしてください。ハードコンタクトレンズはレンズ内に水分を含んでいませんが、雑菌が付着しているとレンズケース内で繁殖してしまうので、洗浄・消毒は必須です。
洗浄・消毒後はレンズケースもきれいに洗い、乾燥させておきましょう。こうしておけば、レンズケースを介した再汚染を予防できます。
目の安全を考えると、使い捨てタイプのコンタクトレンズは新しいものへ交換するのがおすすめです。
コンタクトレンズに付着した雑菌は、洗浄・消毒しても残っていることがあります。また、お風呂の水やシャンプー、洗顔料などでレンズの性質が変化する場合もあるため、そのまま使い続けるのは危険です。
2ウィークタイプやマンスリータイプのレンズで使用期間が残っていると、「もったいない」と感じてしまうかもしれませんが、目の安全を優先して交換するようにしましょう。
目やコンタクトレンズのトラブルを避けるには、入浴時にレンズを外すことが大切です。
それでは、サウナや温泉、プールに入るときはどうでしょうか。場面ごとに見ていきましょう。
サウナでは基本的に水やお湯は使いませんが、コンタクトレンズは外して入ってください。というのも、サウナは室内が高温で、目が乾燥しやすくなるからです。
目が乾燥するとコンタクトレンズがズレたり外れたりするため、あらかじめ外しておくほうが無難です。また、目が乾燥するとコンタクトレンズが目に貼り付くリスクも高まります。
さらに、コンタクトレンズは高温によって変形することがあります。サウナを利用する際には、コンタクトレンズを外すようにしましょう。
温泉を利用するときはお風呂に入るときと同じように、コンタクトレンズの変形や汚染、紛失、目にレンズが貼り付くなどのリスクがあります。
温泉の成分によっては、通常の入浴よりコンタクトレンズの汚れや変形がひどくなることもあります。
したがって、温泉に入るときも基本的にコンタクトレンズの装用は避けるべきでしょう。
学校でプールの授業を受ける際や海水浴など水のレジャーを楽しむときも、コンタクトレンズの装用は避けなければいけません。
コンタクトレンズ装用時にプールの水や海水などが目に入ると、レンズの汚染や変形のリスクが高まります。また、プールの水に含まれる塩素が付着すると、目に悪影響をおよぼすため危険です。コンタクトレンズが外れたり、流れてしまったりすることも考えられます。
汚染・変形に気付かずコンタクトレンズを使い続けると、目に重篤なトラブルをまねくことがあります。目の健康を守るためにも、プールや海水浴の際にはコンタクトレンズを外しましょう。
なお、ゴーグルを併用しても水が浸入するリスクはゼロにできません。したがって、ゴーグルをはめる場合もコンタクトレンズは外すべきです。
コンタクトレンズユーザーのなかには、視力が悪くコンタクトレンズを外すのが難しい方もいるでしょう。そのような方のために、どうしても視力矯正が必要なときの対処法をいくつか紹介します。
お風呂に入るときやサウナ・温泉などを利用する際に視力矯正が必要な場合は、お風呂専用のメガネを使うのがおすすめです。
お風呂専用のメガネは耐熱温度が高く、熱による変形の心配がありません。また、ネジなどの金属部品を使っていないので、温泉成分などによる腐食リスクがないのも特長です。もちろん、レンズは防曇加工で快適な視界を確保できます。
プールや海水浴などで泳ぐ際には、度付きゴーグルが便利です。度付きゴーグルは子ども用も販売されており、オーダーメイドで乱視用のものを作ることもできます。
お風呂やサウナ、温泉に入るとき、水泳時などはコンタクトレンズを外すのが原則です。ただし、やむを得ない理由で外せない場合は、ワンデータイプのコンタクトレンズを使用するのもよいでしょう。
装用中にコンタクトレンズがズレた場合など、目やレンズに異常を感じたら、すぐにレンズを外してください。目の異常を放置すると、目に傷が付いたり眼障害をまねいたりするため大変危険です。
なお、入浴時などに使用したコンタクトレンズは汚染・変形のリスクがあります。そのため、お風呂やプールなどから出たらすぐに外し、廃棄してください。
お風呂に入るときは、基本的にコンタクトレンズを外しましょう。外さずに入浴すると、目にコンタクトレンズが貼り付いたり、レンズの変形や汚染、紛失をまねいたりするおそれがあります。
やむを得ず、コンタクトレンズを装用したまま入浴した場合は、お風呂から出てすぐにコンタクトレンズを外してください。レンズを外したあとも目の状態に注意し、少しでも異常を感じたら眼科を受診して、目の健康状態を見てもらいましょう。
なお、サウナや温泉を利用するとき、プールや海水浴などで泳ぐときも、コンタクトレンズの装用は避けなければなりません。ルールを守り、目の健康に気を付けてコンタクトレンズを使いましょう。
更新日:2024/3/14